2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18320026
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
丸谷 晃一 Chubu University, 人文学部, 教授 (50279999)
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Keywords | 日本思想史 / 中国思想史 / 儒教史 / データベース / 国際情報交換 / 日本 / 江戸時代 |
Research Abstract |
伊藤仁齋は、荻生徂徠と並んで近世日本を代表する思想家である。この仁齋の諸資料は、天理大学付属天理図書館古義堂文庫に稿本を含めてほぼ完全な形で所蔵されている。こうした好条件に恵まれているにもかかわらず、伊藤仁齋の全集は、現在に至るまで刊行されてはいない。その全集未刊の最大の理由は、底本の確定の困難さにある。そこで本研究では、仁齋と東涯との諸資料を全面的に検討した結果、仁齋生前最後の稿本である林景范の筆写本(「林本」)が底本として最も適切であると判断した。そして、その刊行のための準備作業として仁齋の主要著作の「林本」を活字化する作業をほぼ完成させ、また仁齋の著作の訳注稿の一部を発表した。平成二〇年度においては、『論語古義』「林本」を活字化した原稿の校正を行った。校正の正確さを維持するために日本思想史研究者である相原耕作氏、近世日本文学の研究者である眞野道子氏、この二氏の協力を得て、その原稿と原文との比較を行い、その最終稿を丸谷が校正をくわえた。範囲は、『論語』雍也篇から郷党篇までである。その結果校正の第一稿が完成した。 また将来この稿本を電子化するために天理図書館から『論語古義・林本』のカラー写真版を入手し、そのデジタル化に取り組美、完成させた。将来の稿本の保存と公開とを可能にしたと言える。
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