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2006 Fiscal Year Annual Research Report

初期ネーデルラント絵画における加筆肖像に関する研究

Research Project

Project/Area Number 18320037
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

蜷川 順子  関西大学, 文学部, 助教授 (00268468)

Keywords肖像画 / 加筆 / 初期ネーデルラント絵画 / 継承祈願 / 寄進者像 / 偽装肖像 / 三連画 / キリストの洗礼
Research Abstract

今年度は、<メロド三連画>と<キリストの洗礼三連画>の妻の加筆肖像をめぐる諸問題を調査した。また、11月にワシントンで開催された、二連画の展覧会において、肖像のある翼画を添付することによって、加筆されたと見なすことのできる肖像画の諸例を調査した。
後者について、二番目の妻の肖像が加筆されたことは、すでに明らかにされているが、その意図や中央画面の図像内容やその選択については未だ十分に説明されておらず、J.ファン・ビストホーフェン等が提示した、夫が自らの家族を回顧的なまなざしで記録しようとしたという意見が定説となっている。しかし筆者は、ブリュッヘで古文書を再調査し、寄進者夫妻の唯一の男子フィリップが没したのは1月頃だったこと、および全体的状況から判断して、彼がかなり病弱だったと思われる証拠を発見した。こうしたことから、1520年12月に三連画が聖堂に寄進されたのは、フィリップの死と関連するという仮説をたて、三連画の制作目的の中心には、後継者の無事な成長祈願があることを論証した。この仮説に基づき、中央パネルの図像内容を説明し、二度目の妻を外扉に描き加えたのは、家系の継承を確実なものとするために、男子誕生を祈願してのことではなかったかと考えた。複数の妻たちが描かれる画像の中で、二度目の妻は赤い衣装を身にまとうことが多いのに、本図で二人の妻などがほぼ同じ衣装を身に着けているのは、まさに継承の問題を視覚化するためではなかったかと考えられる。この議論は、2007年1月に福岡アジア美術館で開催された美術史学会西支部例会で口頭発表を行った。

URL: 

Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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