2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18320064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 善道 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50011375)
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Keywords | 与那国方言 / 3型アクセント / 重音節 / 軽音節 / 文節 / 世代間変化 / 音調変化 |
Research Abstract |
(1)今期の前半はイギリスで研究をしていた関係で調査期間に制約があったが,話者の協力もあって与那国方言アクセントを詳しく調べることができた。これまでの調査結果を踏まえて,先行研究,中でも平山輝男・中本正智『琉球与那国方言の研究』(1964)の確認調査に力を注いだ。特に,その第5章語彙編に出ているすべての単語を再調査し,その異同も明らかにして資料集を公刊することができた。その結果,これまで3型アクセントだとされてきた与那国方言には,その3つの型に単純に収まりきれないものが存在することが判明した。その多くは多単位形として3型の枠の中で解釈できそうであるが,中にはそれでも処理できない型も残り,今後の研究課題となった。 (2)その現地調査と並んで,イギリス滞在中は整理を進め,2009年7月にアテネで開かれた国際会議においてその世代間変化を英語で発表した。また,帰国後の2009年10月に国立国語研究所設置記念国際シンポジウム「日本語研究の将来展望」の一つとして「アクセント史研究」と題して日本語で話した。両方の成果は,論文「琉球与那国方言のアクセントと世代間変化」としてまとめた。現在,記念論文集『日本語研究の12章』(仮題)の一部として印刷中である。3月に間に合わなかったので研究発表欄には記入しないが,そのポイントは,この方言は音節単位であり,その音節量(軽重)がアクセント変化とその結果の共時的記述において重要な役割りを果たすこと,および世代間変化の追究により,上昇・下降ともに右側に移動していることが実証的に明らかになったことである。 (3)青森市方言の後部2拍からなる複合語アクセント規則を明らかにするための資料も公刊した。今回でその資料の全体が揃ったので,規則そのものの考察に入る準備が整った。次回にそのアクセント規則をまとめる予定。
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Research Products
(3 results)