2006 Fiscal Year Annual Research Report
DIFを用いた日本語テスト改善に向けての基盤的研究
Project/Area Number |
18320081
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三枝 令子 一橋大学, 法学研究科, 教授 (60215580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 裕之 名古屋大学, 教育科学発達研究科, 教授 (60114815)
酒井 たか子 筑波大学, 人文社会科学研究科, 助教授 (40215588)
伊東 祐郎 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 教授 (50242227)
島田 めぐみ 東京学芸大学, 留学生センター, 助教授 (50302906)
井上 俊哉 東京家政大学, 教養部, 助教授 (90232537)
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Keywords | DIF分析 / 日本語テスト / テストの公正性 / プレースメントテスト |
Research Abstract |
テストで測定される能力において同等の受験者同士を比べているにもかかわらず、受験者の属する集団の違いによって、特定の項目への正答率に差が観察されるとき、その項目はDIF(Differential Item Functioning)を持つという。DIFを示す項目が含まれるテストは、特定の集団に不利益をもたらす不公平な測定道具となっている可能性があるため、欧米のHigh-stakes test(利害関係の高いテスト)では、テストの公正性を保証する手段の一つとして、DIF項目を検出するための分析を行うのが普通となっている。本研究は、外国語としての日本語能力を測定する試験においてDIF分析を実施するためのパイロット・スタディとしての意味を持つ。 平成18年度は、予備調査として、筑波大学留学生センターで実施したプレースメントテストの結果を対象とし、DIF分析を行った。テストは計200項目で、被験者は全部で576名であった。分析の結果、中国語母語話者の日本語学習上の問題点と考えられることがらがいくつか明らかになった。しかしながら、今回の調査ではテストの被験者が日本国内の特定の大学へめ留学生に限られていることや、人数が必ずしも多くはないこと、などの限界もあり、得られた結果をどの程度一般的な知見とできるのかについては、今後の検討が必要である。なお、この予備調査の分析結果については、2007年5月に開催される日本語教育学会春期大会での口頭発表に採択された。 上記のほかに、平成18年度はDIF研究の情報収集のために、オーストラリア、オランダ、英国のテスト機関等を訪ねた。また、平成19年度の本調査に向けて、シンガポールと香港において、本調査の問題項目を用いた予備調査をあわせて行った。
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