2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18320111
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
上島 享 京都府立大学, 文学部, 准教授 (60285244)
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Keywords | 日本史 / 勧修寺 / 真言寺院 / 諸寺院間交流 / 聖教・文書調査 |
Research Abstract |
本研究では、研究協力者を含めた諸分野の研究者が共同で勧修寺に現存する聖教・文書の調査を進めるとともに、勧修寺を中心に諸寺院間交流という共通テーマを掲げて、研究を行うことが目的である。本年度は本研究の最終年度にあたり、当初の目標を達成するとともに、その成果を報告書として刊行することが課題であり、それを達成することができた。以下、本年度の実績を具体的に記す。 (1)勧修寺現蔵の聖教と中世文書の目録の完成 両者の目録を完成することができた。報告書には、中世文書の目録はすべて、聖教目録は膨大な量になるため、勧修寺聖教の特質が分かり易い箱を中心に掲載した。 (2)勧修寺現蔵史料と旧蔵史料との対照 江戸中期に作成された「勧修寺大経蔵目録」に掲載されている聖教・文書1点1点が現在、勧修寺に現蔵しているかどうかを確認し、ないものについては可能な範囲で現蔵先を明らかにした。そして、「勧修寺大経蔵目録」の記載順に、対照表を作成し、報告書に掲載した。 (3)勘修寺での調査成果を踏まえた諸寺院間交流の研究 研究協力者を含めた研究論文・史料紹介を報告書に掲載した。 以上より、これまで知られていなかった勧修寺現蔵の聖教と中世文書の全貌が明らかになるとともに、明治初年に勧修寺が一時廃寺になるまで、勧修寺にあった史料が、現在、どこに保管されているのか、その全体像を示した。そして、かかる調査成果を踏まえ、諸研究論文では、勧修寺を拠点とした諸寺院間交流を解明することができた。 これは単に一寺院の個別研究にとどまらない。勧修寺は真言小野流の拠点寺院のひとつであり、本研究によって明になった事実は、他の密教寺院を考察するさいの大きな手引きになるものと考える。
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Research Products
(2 results)