2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18320126
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松木 武彦 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (50238995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新納 泉 岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 准教授 (20172611)
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Keywords | 古墳時代中期 / 古代吉備 / 竪穴式石室 / 5世紀 / 日韓交流 / 副葬品 / 勝負砂古墳 / 帆立貝形古墳 |
Research Abstract |
本年度の前半においては、昨2007年度から継続する形で、2008年7月まで岡山県倉敷市勝負砂古墳竪穴式石室の調査を行い、人骨のほか鏡・馬具・甲冑・鉄製武器類を中心とする副葬品約100点の記録・計測および取り出しを行った。これらの検討および比較から、勝負砂古墳の築造年代をほぼ5世紀後葉に特定でき、周辺諸古墳との間での築造順序の確定、および吉備地域の巨大古墳形成過程における年代的位置づけを明らかにすることができた。同時に、竪穴式石室の構造および棺形態についても検討を行い、当石室がその形態や構築過程の点から朝鮮半島南部加耶地域との強い結びつきをもつことなどを明らかにし、吉備地域における巨大古墳形成期における国際的環境と、その中での古墳築造者の対外交流の実態を解明した。さらに、勝負砂古墳の築造年代前後の吉備地域の古墳を、墳丘・埋葬施設・副葬品などの複数の観点からデータを収集・整理し、勝負砂古墳の発掘成果をそれらと比較検討する作業を通じて、古代吉備の5世紀の歴史像をこれまで以上に具体的に復元するための貴重な資料が得られた。 本年度の後半には、上記の作業を進めるとともに、2008年2月から3月にかけて勝負砂古墳の竪穴式石室を再び発掘調査し、2007年度の調査で残した副葬品を記録・計測して取り出すとともに、石室の下部構造を精査し、また後円部を中心に墳丘の構造を調査した。その成果の本格的分析は2008年度以降に委ねられるが、石室の構築に先立つ基礎地業の実態や墳丘の檀築を明らかにし、勝負砂古墳の築造時につぎ込まれた技術や労力の系譜や実態を具体的に解明するための基礎資料を得た。
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