2008 Fiscal Year Annual Research Report
縄文時代のクリ利用に関する考古学・民俗学・年輪年代学的研究
Project/Area Number |
18320130
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Research Institution | Niigata Prefectural Museum of History |
Principal Investigator |
荒川 隆史 Niigata Prefectural Museum of History, 学芸課, 研究員 (10416084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 勝彦 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (70292448)
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Keywords | 縄文時代 / クリ / 考古学 / 年輪年代学 / 民俗学 / 花粉分析 / 大型種実 / 掘立柱建物 |
Research Abstract |
1.当研究は縄文時代晩期の新潟県青田遺跡などにおける掘立柱建物と木材利用の関係、年輪年代学的解析による建物の年代関係、木柱の生育環境の調査を行った。また、現生クリ林において年輪・花粉・果実の実証的データを蓄積し、人為的関与が年輪成長に与える影響について調査した。以上をもとに、縄文時代におけるクリ利用システムの解明を目的とする。 2.青田遺跡の年輪年代学的解析によって、遺跡の形成期間が166年間であることを明らかにした。集落形成期は4期あり、遺跡層位や土器編年と調和的である。青田遺跡の木柱の伐採季節は、クリがすべて秋〜冬に、コナラ節・クヌギ節が春〜秋に伐採されていたことが分かった。石川県チカモリ遺跡と真脇遺跡の木柱の年輪年代学的年代関係も明らかにした。 3.現生クリ林では、局所密度や人為的管理により成長速度が変動することが分かった。1アールあたりの収量から現代の成人男子が1年間に必要なクリは、計算上で25本前後と推定された。クリ花粉はクリ林内で高率を占めるが、林外では急減することを明らかにした。山形県小国町における現生クリ林は、軽度の管理で維持され、材成長が良いことが分かった。 4.縄文時代においてクリの「収穫」と「伐採」を両立するためには、できるだけ多くのクリ林を確保し、あるいは人為的に増やす必要があったのであろう。材成長をよくする適度な管理をすることで果実収量を増やし、建材に適したクリを早く安定的に確保していたのであろう。縄文時代におけるクリの利用は、クリの生態を理解し、クリとともに生きる縄文人の重要な生活戦略のひとつであったと考えられる。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
木村勝彦
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Journal Title
「野地遺跡における木柱の年輪解析」『日本海沿岸東北自動車道関係発掘調査報告書XXXII野地遺跡』(新潟県教育委員会・財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団)
Pages: 127-130
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[Journal Article]2009
Author(s)
木村勝彦
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Journal Title
「西郷遺跡出土木柱の年輪解析」『一般国道49号亀田バイパス関係発掘調査報告書II西郷遺跡』(新潟県教育委員会・財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団)
Pages: 179-180
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