2006 Fiscal Year Annual Research Report
古墳時代におけるコウヤマキ材の利用実態に関する総合的研究
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18320132
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
岡林 孝作 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第一課, 主任研究員 (80250380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 裕明 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第二課, 主任研究員 (90260372)
日高 慎 東京国立博物館, 文化財部列品課, 主任研究員 (70392545)
奥山 誠義 奈良県立橿原考古学研究所, 資料室, 主任技師 (90421916)
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Keywords | 古墳時代 / コウヤマキ / 木棺 / 木製樹物 / 樹種同定 / レーザー三次元計測 |
Research Abstract |
古墳時代の木棺・木製樹物の用材には、近畿地方を中心とした広い地域でコウヤマキ材が選択的に使用され、古墳時代を通じて、その用材に供するために莫大ともいうべき量のコウヤマキ材が消費されたと考えられる。両者は古墳における限定的用途を共通の特徴とする大型の木製品であり、その製作・使用は古墳の造営と深く関連づけられる。これらの用材利用の実態を検討し、背景に活発な古墳造営を支えた材の管理、供給システムを想定することで、古墳造営のメカニズムの一端を考察することが本研究の目的である。今年度は、1)木棺・木製樹物の樹種同定データの収集、2)木棺・木製樹物の構造・形態等に関するデータの収集を行った。東京国立博物館所蔵の山形県衛守塚2号墳(漆山古墳)出土木棺(蓋・身)、静岡県杉畷古墳出土木棺(身)、奈良県石見遺跡出土蓋形木製品、奈良県立橿原考古学研究所所蔵の奈良県下池山古墳出土木棺(蓋・身)の調査においては、レーザー三次元形状計測技術を活用した記録作成を実施した。レーザー三次元形状計測は対象物に対する負荷がない非接触の測定方法であり、正確かつ精密なデータを確実に得ることができる点で、出土大型木製品の計測にも有効である。衛守塚2号墳・杉畷古墳出土木棺は、木棺の全形が遺存する希少かつ著名な資料でありながら、材質の特性やもの自体の大きさに起因する問題点もあって現在の研究水準に耐えうる資料化が必ずしも十分な状況ではなく、その意味でも今回得られた資料はそれぞれの個別的研究の一層の深化にも大きく貢献することが期待される。
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