2006 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル化時代における公共空間と場所アイデンティティの再編成に関する研究
Project/Area Number |
18320136
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 彰彦 九州大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (90197054)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山野 正彦 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20094493)
源 昌久 淑徳大学, 社会学部, 教授 (80104826)
久武 哲也 甲南大学, 文学部, 教授 (70108968)
山本 健児 九州大学, 大学院経済学研究院, 教授 (50136355)
熊谷 圭知 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (80153344)
|
Keywords | 公共空間 / 場所アイデンティティ / 地理思想史 / 社会理論 / 地理的知 / 地政学 |
Research Abstract |
1.社会・文化・政治地理学の新たな理論的動向を検討した。その結果、これまで相互のつながりが希薄であった社会地理学と文化地理学の間で双方の視点を結びつける動きが活発化していること、経済現象に対する文化・社会地理学的視点からの接近が図られていること、「公共空間」の変容に対する政治地理学的な関心とそれをめぐる論争がドイツ語圏やフランス語圏においても高まりつつあること、政治哲学的な「公共性」の議論を具体的な公共空間との関係で再定位する議論が重要視されていること、などが明らかとなった。 2.近・現代世界における地理的知識の形成と場所アイデンティティの再編成に関して主に地理思想史的視点から検討し、意見交換を行った。具体的には、近代的な風景観や場所アイデンティティの形成、軍事的知識の形成に地理学者が果した役割、旧植民地(満州)への巡検と地理教育の関係、場所イメージと差別意識の形成に関する理論化、地理的知の形成に果す場所の役割、王権・コスモロジー・場所、などの問題系について、表象と実践および知と権力の錯綜した関係が明らかとなった。 3.「グローバル化時代における地政空間の再編成」というテーマで国際研究集会を開催した。コソボやインド洋における民族紛争や地域の不安定化などの問題について「批判地政学」的視点から新たな理解の枠組が提示され、それをめぐって意見交換を行った。その結果、紛争においてさまざまな「言説」が果たす役割の分析と、その言説分析を社会・政治構造の研究といかに接合させるかが、今後の重要な研究課題であることが明らかとなった。 4.これらの研究成果の一部は、東アジア批判地理学者会議(台湾)や雑誌『空間・社会・地理思想』10号に発表された。
|
Research Products
(11 results)