2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18330015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬川 信久 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (10009847)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 〓 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (30002190)
高見 進 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (20009848)
北見 良嗣 帝京大学, 法学部, 教授 (00312330)
藤原 正則 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (70190105)
福田 誠治 上智大学, 法学部, 教授 (70250404)
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Keywords | 複合契約 / 金融取引 / アンバンドリング / 倒産リスク / 租税回避 / 第三者のための保護義務 |
Research Abstract |
本年度は、各研究分担者が、サービサーリスクと代理店等制度、相続をめぐる複合契約、純粋経済損失、共同不法行為、リース取引での租税回避等、各役割分担領域の研究を進めた。これらの研究から、複合取引にはやや異なる2つのものがあることが認識された。 これまでの典型的な複合取引は、複数の取引の間に依存関係がある場合である(ケア付きマンション購入契約等の「複合契約」)。この複合取引の最も単純なものは、法主体Aが自らの事業目的のために複数の法主体BCD等と取引し、その取引の成立・内容確定・履行・解消について相互に条件付けをする場合である(貸付契約と保証契約など)。しかし、当事者が意識的に条件付けしていない場合には、取引の成立・内容確定・履行・解消についてどこまで依存関係を認めるべきかが問題になる。さらに、異なる法主体ABの取引とCDの取引の間で依存関係を認めるべき場合もある。以上のような複合関係のある場合に、各人は他の関係者の活動・行為につき、誰のためにどこまで注意義務(第三者のための保護義務)と責任を負うべきかが問題になる。他方で、近年、事業のアンバンドリングにともなう複合取引は、以上とやや異なる特色を持つ。すなわち、一般の取引では、1つの法主体Aが取引相手Bに対し財貨・役務を供給したときにその便益と危険をBに帰属させるのに対し、Aが自らの事業をBに執行させ、事業の成果である財貨と役務を自らに留保する複合取引がある。この複合取引では、B倒産のリスクの回避をどのような条件で認めるかという(責任財産の分別)問題と、Bが負う事業遂行義務が中心的な問題になる。また、課税の観点でも、導管理論等は従前の租税回避とは異なる構造を持つ。 次年度は、様々な法律問題に視野を広げつつ、複合取引の諸類型をさらに豊かなものにすると同時に、法解釈・立法の指針を提示する予定である。
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Research Products
(24 results)