2006 Fiscal Year Annual Research Report
高速道路建設における国民投票の意義-民主主義と経済効率との対立に着目して-
Project/Area Number |
18330057
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 義明 筑波大学, 大学院システム情報工学研究科, 教授 (50183760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敦夫 南山大学, 数理情報学部, 教授 (70162922)
白波瀬 佐和子 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 助教授 (00361303)
古藤 浩 東北芸術工科大学, デザイン工学部, 助教授 (60244985)
田村 一軌 財団法人鉄道総合技術研究所, 輸送情報技術研究部・交通計画研究室, 研究員 (90426049)
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Keywords | 高速道路 / 国民投票 / コンドルセ均衡 / クリスタラーの中心構造 / 地理ネットワーク / 逐次最適 / 地方分権 / 経済効率 |
Research Abstract |
理論的成果は三点ある.第一に,線的施設に関する既存モデルを精緻化し,高速道路長,料率(単位距離あたりの料金)という二つの政策を決定変数とするコンドルセ投票モデルへ拡張した均衡解の社会的純便益(全住民の純便益関数の総合計)を計算し,社会的最適値との比較を通して,投票行動がどの程度高速道路建設に悪影響を与えているのかを明示した.また,投票行動がどの程度格差を生じたかを測るために,住民間に生じる便益格差(純便益の最大値と最小値との差)を求めた.第二に,点的施設に関する既往研究を拡張し,クリスタラーの中心構造(二次元平面上の蜂の巣配置も含めて),結節点をもつ道路ネットワーク(木構造を中心に),逐次最適(線形空間)による投票均衡では,それぞれが地理的状況を限定すると社会的最適になることを証明した.第三に,交通トリップをサービス対象とする都市施設に関して,国民投票(レファレンダム)による直接民主制と代理人投票(地域ごとに代理人や政治家を選出し投票を付託する場合)による間接民主制を考えた.そしてこれらの両制度による投票均衡を導出し,社会的最適配置との比較を通して,制度構造の差異の影響を効率性及び公平性の視点から考察した. 実証的成果は二点ある.第一に,日本全国の高速道路整備状況(時間軸も含めて)をデータベース化し,地理情報システムに組み込んだ.そして,道路整備計画や選挙結果との相関を分析した.第二に,道東道(北海道),東北中央自走車道(山形),圏央道(茨城,千葉),西九州自動車道(佐賀)の工事現場や担当課を訪問し,道路建設経緯や経営実態の把握に務めた.
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