2008 Fiscal Year Annual Research Report
高速道路建設における国民投票の意義-民主主義と経済効率との対立に着目して-
Project/Area Number |
18330057
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 義明 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 教授 (50183760)
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Keywords | 高速道路 / 国民投票 / コンドルセ均衡 / 地利値 / 多目的計画法 / パレート最適 / 地方分権 / ネットワーク |
Research Abstract |
本年度実施した内容は以下の3点である.1.高速道路課金のモデル化:住民投票に配慮した高速道路制度が効率的である保証は全く無い.つまり,住民投票さらには市民協働が経済的効率性を損なう可能性は大きい.対距離料金の料金体系,一律料金,需要変動課金,さらには,ガソリン税徴収のどの料金制度が投票という合意形成の下でも,社会的厚生を損なわないのかを分析した.また,プール制と高速道路の過剰供給との関係を整理した.2.過半数合意形成と施設配置:個別の政策の実施についてのみ,多数決による投票の原理でその賛否を問い,問題の解決にあたっている.そこで,合意形成を前提とする施設配置目的法を構築した.住民の半分が賛成するという意味での合意形成を前提にしたときの,施設配置が社会全体から効率性をどの程度低下させるのか,あるいは低下を防止する課金制度とは何かについて,単純なモデルで明らかにした.3.地利値の理論化:市場や交通ネットワークの影響を明らかにするために,地理学や都市計画で研究されている地利値を理論化した.地利値とは,交通ネットワークや自治体の隣接性を表現するために利用されるグラフの隣接行列の最大固有値に属する固有ベクトルの成分値であり,その場所の便利さを表す均衡状態の情報を示す.地利値が当然満たすべき条件から対象地域の規模を明示的に取り込み,微分方程式経由して地利値総量を算出する.そして,地利値が大きくなる場所や,その形状を解析的に分析した.さらに,総移動距離,最大移動距離,断面交通章などの従来の立地指標との食い違いを明示した.
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Research Products
(4 results)