2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本における航空ネットワークの再編成と空港の効率的運用
Project/Area Number |
18330065
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
竹中 康治 日本大学, 経済学部, 教授 (50188207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 一誠 日本大学, 経済学部, 教授 (60290269)
村上 英樹 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 助教授 (90243295)
手塚 広一郎 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (90323914)
辻本 勝久 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (40335500)
乾 友彦 日本大学, 経済学部, 教授 (10328669)
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Keywords | 低費用航空会社 / 参入戦略 / 空港債 / 時系列分析 / 推測的変動 / 安全規制 / インセンティブ / イベントスタディ |
Research Abstract |
(1)アメリカの航空会社の参入戦略:アメリカの低費用航空会社による複占あるいは三占市場への単独参入の市場価格,輸送量および消費者余剰に対する影響を計測した。加えて,航空会社のタイプ別に効果の持続性を計測した。低費用航空会社の参入は,市場価格を引き下げるとともに輸送量を増大させ,消費者余剰を増加させる。そして,その効果は,近隣空港への参入よりも大手航空会社と同じ空港における直接競争の方が大きいことを明らかにした。またサウスウエスト航空の参入によるプラスの経済効果は長期間持続するのに対し,それ以外の航空会社のプラスの参入効果は2〜3年で終息し,やがてマイナスの経済効果に転じることも明らにした。 (2)アメリカの空港債:ムーディーズNY,債券格付けの良好なフロリダ州のいくつかの空港,ターンパイク会社およびJFK空港を訪問し,聞き取り調査を行なった。フロリダ州の空港もJFK(NY&NJポートオーソリティ)もともに公社ではあるが,ファイナンスの方法には顕著な差異がある。フロリダの空港はいずれも特定財源的な形態をとっているのに対して,JFKは空港で得られた収入を赤字の他事業に回している。しかも,空港事業は所有と運営が分離され,ターミナル別に運営会社が異なる。したがって,歳入債の格付けは運営会社の業績に左右されるのである。これらのケースはいずれも今後の日本の空港運営に示唆を与えている。次年度はさらにデータを収集し,定量的な分析をすすめる。 (3)日本の航空会社の戦略:1993年以降の日本発国際線ダイヤを路線別にデータを入力した(データベースの構築)。次年度はこれを用いて,1社の市場からの退出が他社の運航に与える影響を計測する。 (4)航空産業の安全規制:1995年から2004年にかけての10年間について,わが国大手航空会社2社を対象にイベントスタディによる実証分析を行なった。そこからは,航空事故(アクシデント)が企業価値に対して負の影響を与えうるという結果を得た。したがって,規制によらなくとも市場の規律(market forces)によって企業が安全確保に対するインセンティブを有する可能性があることが示唆された。
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Research Products
(9 results)