2006 Fiscal Year Annual Research Report
「ニュー・エコノミー」型経済システムの研究--現代アメリカを焦点に
Project/Area Number |
18330072
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
秋元 英一 千葉大学, 法経学部, 教授 (00064113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 総一 同志社大学, 経済学部, 教授 (30121594)
須藤 功 明治大学, 政治経済学部, 教授 (90179284)
村山 裕三 同志社大学, ビジネス科学研究科, 教授 (20239552)
加藤 一誠 日本大学, 経済学部, 教授 (60290269)
地主 敏樹 神戸大学, 経済学部, 教授 (60171089)
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Keywords | ニュー・エコノミー / グローバリゼーション / IT革命 / 生産性 / インターネット / ディジタル財 / 労働市場 / 環境負荷 |
Research Abstract |
すでに、秋元「ニュー・エコノミーと中産階級社会の変貌」の中で明らかにしたように、ニュー・エコノミー、グローバリゼーション、そして情報技術(IT)(情報通信技術ICTともいう)革命は三位一体となって、1990年代後半のアメリカ経済における生産性の飛躍に貢献した。この点に加えて、以下の点が明らかとなった。 ある国民経済においてニュー・エコノミーがどの程度の比重を占めているかを示す指標は、3つある。1)GDPに占める情報通信技術設備の生産のシェア。2)情報通信技術の採用・利用と普及の割合。一般的には所得のレベルと相関するが、それだけではない。3)インターネットの普及と広がりの度合。アメリカは上記のいずれにおいても他の諸国を凌駕しているわけではないが、2)と3)が企業経営に深く浸透している点、および非常に多くの消費者がインターネットを通じて行動している点がきわだっている。Danny Quahによれば、ニュー・エコノミーの核をなすディジタル財は5つの特徴をもつ。1)非競合性。ある財貨が競合的であるとは、食料のように、消費によって消滅する場合であり、ディジタル財はその反対である。2)無限に拡張可能。限界コストがゼロに近い。3)離散性。分割不可能性とも言える。4)空間を越える。どこにでも存在せず、どこにでも存在する。5)組み替え可能。新しいディジタル財はその産みの親の特質と無関係である。4)の特質は、IT産業立地に熟練労働力重視という新たな特徴を与えつつある。ただ、その変化は必ずしも急激ではない。ある程度の同業種の収斂が必要で、「40エーカーとモデム」さえあれば、とは立証されていない。いずれにせよ、ジョーゲンソンが言うように、ニュー・エコノミーという研究領域において、われわれはわれわれの思考様式をよみがえらせ、われわれの慣れ親しんだディシプリンを再活性化させる、新たな研究課題を背負ったことは間違いない。
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Research Products
(11 results)