2008 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀イギリス都市における市民的社交圏の形成-地域社会、消費文化、貧困-
Project/Area Number |
18330075
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中野 忠 Waseda University, 社会科学総合学術院, 教授 (90090208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道重 一郎 東洋大学, 経済学部, 教授 (40239273)
菅原 秀二 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (40216297)
唐澤 達之 高崎経済大学, 経済学部, 准教授 (10295438)
小西 恵美 専修大学, 経済学部, 准教授 (90338583)
山本 千映 関西大学, 経済学部, 准教授 (10388415)
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Keywords | 都市 / 小売商業 / 社交 / 教区 / 商工業者 / 救貧 / 消費文化 / ギルド |
Research Abstract |
研究代表者・分担者は、それぞれ分担するテーマについてまとめの作業となる研究を進めた。中野は新しい社交圏の展開に貢献した馬車利用の拡大に注目し、ジェントりとの市民層を結ぶ社交のスタイルが17世紀後半以降のロンドンで生まれ、地方にまで及んでいく過程を立証した。また課税記録などに依拠して、「間借り」慣行が広く普及し、そのために地方の住人もロンドンの社交生活や消費文化を享受する機会が担保されていたことを明らかにした。道重は中流階層に焦点を当て、ファッショナブルな商品を扱う服飾小物商の営業形態を分析しながら、この階層の需要に適応した流行品を提供する小売商業が展開していたこと、またその店舗はこの階層の社交の場でもあったことを論証した。唐澤は中世に起源し18世紀まで存続したノリッジのギルドを例に、都市の連続性と変化について考察し、それが儀礼機能の遂行や社交の場となることで18世紀の都市化の一翼を担ったことを立証した。小西は18世紀から19世紀のキングスリンの救貧税記録からこの都市の階層構造を数量的に分析し、都市ルネサンスと呼ばれる一連の都市改良の担い手と協賛者を具体的に明らかにした。菅原と中野は教区会記録、貧民尋問書などの史料を分析し、17世紀から18世紀にかけてのウェストミンスターにおける救貧の実態を解明するとともに、都市下層民の社会関係や生存戦略を個別の事例に即して論じた。山本は産業革命期における都市の消費文化と犯罪の間の関連を統計的に分析するため、スタッフォードシャにおける収監人記録のデータベース化する作業を進め、ほぼ完了した。この3年間共同で取り組んできたUniversal British Direotory全10巻のデータベース化プロジェクトに関しては、入力はすべて完了し、部分的には検索など利用可能な状況にある。
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Research Products
(5 results)