2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18330090
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
湯之上 隆 Nagaoka University of Technology, 極限エネルギー密度工学研究センター, 客員教授 (90399056)
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Keywords | 半導体 / コンソーシアム / 合弁会社 / エルピーダメモリ / MOT / プロセス技術 / 混乱と摩擦 / 組織 |
Research Abstract |
NECと日立の合弁会社・エルピーダを取り上げ、二社合弁でどんな混乱や摩擦が起きるか?それがどのようにして解決されたのかを明らかにした。本研究は、半導体企業再編における指針になると言える。 (1)二社が合弁で、どのような摩擦や混乱が起きるのか?→設計やプロセス技術はその会社の文化であり簡単に融合できない。二社の“良い所取り"をしようとしても技術の現場はより混乱する。また、同じ半導体デバイスを二社の工場で量産することもできない。このような技術の問題を二重組織による体制が、より深刻化する。その結果、事態は二社統合以前よりも悪化する。 (2)このような摩擦や混乱を坂本社長はどのように解決したか?→技術、設備について、「ここはNECだ、NECに合わせろ」と言う指示で混乱を収めた。強力なリーダーシップにより、二社統合によって生じた経営、組織、オペレーションに関する問題をほとんど解決した。その結果、技術者のモチベーションが向上し、もともと技術者が持っていた技術が有効に使われるようになった。つまり、坂本社長のMOTが成功した。 (3)坂本社長をもってしても解決できなかった問題は何か?→NECと日立、開発部対量産部門の摩擦は解消できていなかった。また、坂本社長の指示により開発を中止して生産に集中し、技術開発が停滞していた。技術者は、社長交代後、技術力が向上していないことに不安を覚えていた。 (4)現場レベルの混乱や摩擦は誰が解消したのか?→エルピーダには、三菱社員が小数出向していた。NECおよび日立出身者が開発を専門にしていたのに対して、三菱出身者は、全員が開発、量産、ファンドリーへの生産委託の経験があった。その結果、自然と、三菱出身者が、量産展開およびファンドリーへの生産委託の中心的役割を果たすようになった。坂本社長が解決できなかった現場レベルの混乱や摩擦を、少数の三菱社員が、会話による調整により、効果的に解決していたことを明らかにした。 本研究成果は、電子ジャーナル2009年3月号、4月号、5月号、6月号にて発表した。
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Research Products
(7 results)