2008 Fiscal Year Annual Research Report
家族の個人化の進展とその社会的影響に関する実証研究
Project/Area Number |
18330102
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山田 昌弘 Chuo University, 文学部, 教授 (90191337)
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Keywords | 家族 / 個人化 / 夫婦関係 / 夫婦の役割 / 家計の共同 / 単身赴任 |
Research Abstract |
本年度は、前年度に実施した家族の個人化に関わる量的な大規模調査のデータを、研究協力者と共に分析し、その結果を相互に検討した。次に、単身赴任に典型的に現れる夫婦でありながら住居を共にしていないケースのインタビュー調査を行った。3年にわたる調査研究の実証データをもとに、日本における家族の個人化の進展度合いを検討した。 量的な大規模調査では、意識、役割、家計において、特に夫婦関係の個人化が進んでいるかどうかを検討した。日本の夫婦関係は自立かつ平等の方向性に進んでいるという仮説に基づいて分析したところ、日本の夫婦の自立度は低く、役割分業と家計の共同を前提とした生活をしていることがわかった。世代による個人化の程度に差がないことが分かった。更に、今後、自立の方向に向かうかどうかという点について分析したところ、多くの夫婦は現状維持を望み、自立するよりは、夫にはもっと働いて稼いで欲しいとの妻側の意識が見られ、特に、若い層で多く見られた。 単身赴任を典型とするインタビュー調査では、むしろ夫婦で遠くに別居している方が、コミュニケーションが密になったとの意見もあり、空間的分離と家族意識の分離の相関はみられなかった。 また、いずれの調査でも、結婚後の夫婦の実家との結びつきが強く保たれている家族が多く、家族の世代間の個人化が起きているとはいえないことが分かった。
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Research Products
(1 results)