2008 Fiscal Year Annual Research Report
10代の性感染症急増下の日本における性教育の実態と課題に関する研究
Project/Area Number |
18330172
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Research Institution | Kagawa Nutrition University |
Principal Investigator |
橋本 紀子 Kagawa Nutrition University, 栄養学部, 教授 (20138530)
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Keywords | 学校教育 / ジェンダーと教育 / 性教育 / セクシュアリティ |
Research Abstract |
最終年度である平成20年度は、主に下記3点に取り組んだ。1.中学校3校を対象とした性教育の事前事後調査を実施した。授業後には、性意識における"背伸び"のような側面は減少し、自然な気持ちで他者への親密な感情の有無や行動の是非についてまじめに考えるようになっており、性教育の有効性を推測させるものであった。2.日本の性教育の課題をより正確に把握するために、オーストラリア・パースでの視察調査を実施した。薬物依存症患者やゲイ男性に対する性感染症対策プログラムなどを実施している西オーストラリア州AIDS Councilや、セックスワーカーを中心とした人々の性の健康保護プログラムやアボリジニの人々に対する健康教育支援などを行っている西オーストラリア州家族計画協会などを視察した。それらの取り組みは、科学的なデータを提供するカーティン工科大学をはじめとした学術機関、経済的・行政的な面からの健康省など、多くの機関に支援されていた。3.昨年度までに実施した中学校・中学生・保護者対象の量的調査の結果をそれぞれ国内の学術誌へ、それら調査を統括した論文を海外学術誌へ投稿した(いずれも、現在、査読中)。さらに、本研究の総括として、報告書を作成し、今後の性教育について、主に次のように提言した。(1)科学と人権尊重の視点からの性教育の内容構成の吟味と教育課程上の位置づけに関する検討を多様な次元で進める。(2)性教育に関する教員研修を保障し、全校で年間計画にもとついた性教育に取り組めるようにする。(3)子どもの性的健康の保障と全校の性教育推進の要としての養護教諭の位置づけを見直し、十分に活躍してもらう。(4)子どもの意見を反映した性教育の内容構成や教育方法を開発する、とりわけ、男子の性教育には、男性教員と父親の協力を得る。(5)子どもの性的健康を守る地域環境の整備と成人向け性教育を地域で進める。
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Research Products
(4 results)