Research Abstract |
本年度は、4月に橋ヶ谷の作成した「品性」「礼節」「責任」「誠実」「自律」「根気」「寛容」のポスターをH市内の小中学校11校,H県S町内の小中学校13校に月1枚のペースで張ってもらい、校長先生にその月に張ったポスターの内容について月1回の講話をお願いした。この実践の成果を子ども達のポジティブな特性を育むことに役立つかどうかをアンケートを実践の実施前と後で分析して成果を確認することにした。他方で,東京都A区では違うキーワード(徳目)と独自のポスターを用い,月1つのペースで子ども達の規範を育む取り組みをしている。ここでは今年は3年目の調査を2月に実施した。 質問紙は,Peterson & Seligman(2004),Snyder, et al.(1996), Boyer(1995),加藤& Snyder(2005),大竹et al.(2005),島井et al.(1995),寺崎・岸本・古賀(1992),青木&竹嶋(2007)等を参考に,小学校3年生から中学3年生までを対象として,規範意識と感情,幸福感,希望との関係を調べた。これらの調査の結果,明らかになったことは主として次の3つである。(1)規範意識の高さは,ポジティブな感情,根気強さ,希望,主観的な幸福感,生活充実感とはプラスの相関があり,ネガティブな感情とはマイナスの相関がある。(2)品格教育の実施の効果については,相関関係のあるものが増えたという点では効果があったと言えるが,規範の得点には変化はない。(3)発達的変化を見ると,小学校の中学年が一番規範意識が高く,中学生の規範が低いこと,つまり,年齢が進むとともに,数値が下がる発達をする。これらのことから,規範は単調増加的に上昇するのではなく,質が変化する,と言う形で変化することが窺えた。この中で,A区の初年度の分析結果は,ベルリンで開催されたICPで,H市,S町の調査のプレテストについては,2009年に行われたSRCDで発表した。
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