2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340021
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田 一郎 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10207384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
由利 美智子 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (70174836)
辻井 正人 北海道大学, 大学院理学研究院, 助教授 (20251598)
行木 孝夫 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (40271712)
小室 元政 帝京科学大学, 理工学部, 教授 (00186818)
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Keywords | カオス的遍歴 / 高次元力学系 / ハイパーカオス / in-out間欠性 / ミルナーアトラクター / リドルドベイシン / 同期・非同期転移 |
Research Abstract |
力学系のアトラクタは、1980年までに不動点、リミットサイクル、トーラス、ストレンジアトラクタの4種類が発見されたが、高次元力学系では、複数の正のリアプノフ指数の存在によって、ハイパーカオスが定義されているにすぎない。さまざまなハイパーカオスが存在するであろうという観察から、遷移現象に着目した。その一つがカオス的遍歴である。カオス的遍歴の遷移過程においては、比較的低次元の擬似アトラクタの近傍に軌道がしばらく滞在し、高次元のカオス状態を経て別のあるいは同じ擬似アトラクタの近傍に遷移することを繰り返す。この状態は確かに複数の正のリアプノフ指数を持つが、それだけでは遷移の原因は明らかにされない。また、この遷移過程全体が高次元の新しいアトラクタの存在を示している。カオス的遍歴は擬似アトラクタ間のカオス的な遷移過程である。 あるクラスの神経細胞の数学モデルを構築しそれらの最近接相互作用による結合系でカオス的遍歴を見出した。そこでは、同期解と二種のメタクロナール波とさらにはそれらを結合する振幅の小さなカオス軌道の三者の複合体がミルナーアトラクタになり、遷移過程はこのミルナーアトラクタとクライシスによって生じる大振幅のカオスとの間の遷移である。今年度の研究によって、リドルドベイスンが伴っていることが数値的には確認された。しかし、その構造はかなり複雑である。そこで、まず位相カオス状態、メタクロナール波解、同期状態解の間の遷移とこれらの複合体とそれ以外の解への遷移を詳しく調べた。前3者は鏡映対称な不変集合内に存在するので、分析は対称性(群構造)を考慮して行なわれた。その結果、in-out間欠性が基本になった遷移が起こりうることが判明した。
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