2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340021
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
津田 一郎 Hokkaido University, 電子科学研究所, 教授 (10207384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小室 元政 帝京科学大学, 医療科学部, 教授 (00186818)
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Keywords | カオス力学系 / 非線形科学 / 複雑系科学 / 科学技術数学 |
Research Abstract |
高次元力学系の特徴的な遷移ダイナミクスであるカオス的遍歴に焦点を当てて、その雛形モデルの構築をめざして、その発生機構に関する研究と脳神経系に見られる動的遷移過程の研究を行なった。カオス的遍歴の機構として5つの機構を考えた。 1. 三つ組み{カオス的不変集合、ミルナーアトラクター、リドルドベイシン}はアトラクター痕跡間のカオス的遷移を生み出す。 2. 不動点型ミルナーアトラクターの相互作用系はトーラスかカオスアトラクターの痕跡間の遷移を生み出す。 3. ヘテロ次元サイクルはカオス的遍歴を生み出すことがある。 4. 法双曲型不変多様体はカオス的遍歴を生み出す。 5. フラクタルベイシン境界に伴うミルナーアトラクターはノイズによって駆動されたカオス的遍歴を生み出す。 また、脳神経系では近年、外部からの刺激が不在である場合でも状態間の複雑な遷移が観測されている。これを説明するために、I型ニューロンの拡散結合による発展方程式を求め、その動力学的特性を調べた結果、カオス的遍歴的な振る舞いが観測された。特に、鏡映対称による不変多様体上にいくつかのサドル型不動点が現れ、小室の言う出口集合と入口集合が形成され遍歴的な振る舞いが観察された。これはイン・アウト間欠性と類似の機構を一部含み、機構1に対応するが、それだけでは全体を説明できない。更なる研究は来年度に行なう予定である。
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