2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340028
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 彰夫 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (30251359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 浩司 電気通信大学, 大学院・情報システム学研究科, 教授 (80192235)
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Keywords | 非可換統計学 / 仮説検定 / 統計力学 / 情報幾何学 / 平均場近似 / スピン / 有効ハミルトニアン / 自由エネルギー |
Research Abstract |
本研究の目的は,量子推定理論や量子情報理論の諸問題におけるこれまでの研究成果を統合・発展させ,非可換統計学における量子情報幾何学的方法の確立を目指すことにある.最終年度である本年度は,交付申請書の「研究目的」に記載した項目の一つである仮説検定問題に関して,以下のような研究を行った. 統計力学では,分配関数を計算する際,しばしば近似を行う.例えば,ワイスの分子場近似やベーテ近似に代表される平均場近似は,独立かつ同一分布に従う(i.i.d.)クラスターで全系を近似する方法と見なす事ができる.そして,各クラスターの状態を規定する有効Hamiltonianに含まれる未知パラメータを決定する際,自己無撞着方程式という物理的直感に訴える論法を採用するのが通例であった.しかしながら長距離相関や多体相互作用を考慮したら,もっと良い近似が得られるのかどうかという基本的問題には,これまで解答が得られていなかった.本研究では1次元Isingスピン系を情報幾何学的に厳密に解析し,自由エネルギー最小化(=相対エントロビー最小化)という物理的に自然な基準の下で,任意の長距離相関や多体相互作用を考慮しても,より良い近似を得ることはできない,という事実を証明した.しかもこの解析を通じ,従来の自己無撞着方程式とは異なるパラメータ決定方程式が導出されること(従って自由エネルギーの意味で,従来の近似方法よりも良い近似が得られること)や,一般情報源に対する仮説検定問題として相転移現象を捉えることができる可能性があることを見いだした.
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Research Products
(2 results)