2008 Fiscal Year Annual Research Report
偏微分方程式の解に時間依存の特異点が現れる諸問題の新展開
Project/Area Number |
18340047
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小俣 正朗 Kanazawa University, 数物科学系, 教授 (20214223)
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Keywords | 変分問題 / 数値解析 / 偏微分方程式 / 自由境界問題 / 離散勾配流 |
Research Abstract |
本年度は双曲型および双曲型の体積保存問題とそれに関連する自由境界問題についての数学理論と数値計算方法の開発を引き続き行ってきた。non-local termを持つ退化双曲型自由境界問題は難問であったが、何とか基本アルゴリズムの開発を終えることができた。 この種の自由境界問題には、変分問題に基づく計算方法である離散勾配流法が大変有効であった。例えば、体積制約条件が無い場合の双曲型自由境界問題で近似方程式がうまく意味づけられ、弱解の構成が成功裏に行われた。また、自由境界付きでも空間次元が1の場合には体積保存条下である種の(非常に弱い)弱解の構成が行われた。 この問題は、物理的なイメージとしては、水面上の泡や、ガラス面上の液滴の時間発展ダイナミクスであり、その振動解析をするのが目標であった。空間微分の主要項を極小曲面方程式とすると自由境界が無くても解の存在が知られていない。よって、ここでは主要項はラプラシアンとした。これに対しても、菊地・小俣等の結果が知られているだけであった。 これらの知見のもとに数学解析と数値計算を行った。1次元の場合で弱解の存在、2次元の場合で、液滴の合体や分離も数値的に取り扱えるようになった。 さらに、内部構造をもつ物体の衝突問題も、この種の連成解析で実現できることが分かってきた。また、これに付随して出てきた放物型体積保存問題については、弱解の構成、弱解のヘルダー連続性などを示すことに成功している。 研究は、補助金のおかげと研究分担者の協力により順調な進歩を見せている。今後は、高次元の場合の解の存在、衝突問題などベクトル値の問題などに発展の方向を見いだしたい。
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Research Products
(4 results)