2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340087
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
三浦 浩治 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50190583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 成朗 成蹊大学, 理工学部, 教授 (40360862)
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Keywords | ナノマシン / トライボロジー / マイクロマシン / 分子機械 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
これまで知られていなかった超潤滑(超低摩擦)状態が、特徴的な条件・環境のもとで、観測されつつある。これらの摩擦、潤滑の素過程には、原子間結合の破断・生成が寄与するナノニュートンのオーダーから水素結合等が寄与するピコニュートンオーダーの力が関わっている。特に我々によって発見されたフラーレン分子をグラファイトに内包する炭素系超潤滑物質においては、従来の摩擦力測定装置の測定限界をこえるピコニュートンの力が働いている。まさに、これはブラウン運動の領域の熱揺らぎ力に匹敵する。したがって、超潤滑機構の詳細は、ピコニュートンの測定精度をもつ摩擦実験によって明らかになることが期待される。18年度は、我々によって発見された炭素系超潤滑物質の構造の解明及びピコニュートンの測定精度をもっ摩擦力測定装置とそれを用いた摩擦力測定法の開発を行った。 (1)炭素系超潤滑物質の微細構造の解明 (1)高分解能ラマンスペクトロスコピーによると、グラファイト層間に入っているC60単層膜からのラマンスペクトルは、層間に入っていないC60分子からのスペクトルに比べ明らかに異なる位置にピークをもつ。このことによってグラファイト層間にC60単層膜が存在するときのラマンスペクトルスコピーによる同定法が確立された。しかしながら、X線回折法によると、本試料はグラファイト層間にC60単層膜が多数存在することを示す強いピークをもたない。このことは、現在の作成法では、グラファイト内にC60分子が容易に拡散できるグラファイト層間(1.3nm以上)の割合が少なくC60単層膜がグラファイト層間に効率よく封入されていないことを示す。このため、新規の方法でのグラファイトの膨張化が次年度の研究課題になっている。 (2)ピコニュートンの測定精度をもつ摩擦力測定装置の開発 (1)Torsion Resonance Mode(TR-mode)の測定可能な制御系の構築。 TR-modeとともに、新たにLateral Bending-Mode(LB-mode)が、ピコニュートンの測定精度をもつ摩擦力測定のために開発された。どちらも従来の測定法よりも検出感度が優れていることがわかった。特に、LB-modeは検出感度においても極端に優れた感度を示すことがわかった。さらにTR-mode、LB-modeで測定したデータからの摩擦力の導出法が検討された。
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Research Products
(7 results)