2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340107
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
和田 裕文 Kyushu University, 理学研究院, 教授 (80191831)
|
Keywords | 磁気熱量効果 / 圧力効果 / 磁気エントロピー / 一次転移 / 磁気冷凍 |
Research Abstract |
本研究はブラジルのグループが見出した圧力下でのMnAsの超巨大磁気熱量効果を検証し,その物理的起源を調べること目的としている.昨年度に圧力下のMnAsの磁気熱量効果を測定し,超巨大磁気熱量効果が見られなかったことを報告したが,今年度はMhA_s<1-x>Sb_xの磁気熱量効果を解析するとともに,他の化合物についても測定を行った.以下にその結果を要約する. 1)MnAs_<1-x>Sb_xの(0〓x〓0.07)磁気熱量効果は圧力によって10%程度増加するものの,より強い圧力をかけると消失する.MnAsは強磁性から常磁性への一次転移の際に結晶構造がNiAs型からMhP型に変化する,一方,MhAs_<0.93>Sb_<0.07>は磁気転移によっても結晶構造は変化せず,NiAs型のままである.ところが圧力下では磁気転移の際にNiAs型からMnP型に変化することが新たに明らかになった.これはSb置換がNiAs型を安定化するのに対して,圧力はMnPを安定にする方向に働くためである.結果的に高圧力のもとではMnAs_<0.93>Sb_<0.07>は全温度範囲でMnP型になり,強磁性が消失するために磁気熱量効果も減少する. 2)磁気熱量効果は純粋に磁気モーメントの配列による効果と構造転移による効果に分けることができるが,上記の結果からMhAs_<0.93>Sb_<0.07>の場合は後者の成分は小さく,全体の10%以下であることが明らかになった.これはGd_5Si_2Ge_2の場合と対照的である.その理由はMhAs_<1-x>Sb_xでは強磁性になると体積が膨張するからで,これは単純なデバイモデルでも理解できる. 3)La(Fe_<1-x>Si_x)_<13>についても圧力下の磁気熱量効果を調べた.その結果組成によってある程度の増加は認められるものの,超巨大というほどの効果は得られないことがわかった.いずれの場合もサンプルの温度や磁場履歴が超巨大磁気熱量効果観測の大きな理由になっているものと結論される.また,組成によって圧力効果が著しく異なることも明らかになった.これは典型的な遍歴電子メタ磁性体であるCo(S_<1-x>Se_x)_2とは異なる振舞いである.
|
Research Products
(5 results)