2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18340109
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
坪田 誠 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (10197759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠松 健一 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 講師 (70413763)
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Keywords | 超流動ヘリウム / 量子渦 / 量子乱流 / 量子流体力学 / ボース・アインシュタイン凝縮 / 乱流 / 2流体モデル |
Research Abstract |
超流動ヘリウム,および中性原子気体ボース凝縮系(BEC)といった低温の量子凝縮系を対象に,これらを統括的に扱い,量子流体力学の構築を目指す.これらの系の流体力学では,その最小の構成要素としての量子渦が出現する.超流動ヘリウムでは,古典乱流と量子乱流の対応(共通点および相違点)を明らかにする.それにより,量子乱流を,古典乱流よりも簡単な乱流の雛形と位置づけ,乱流研究のブレイクスルーを行うことを目指す.また中性原子気体BECでは,光格子(周期ポテンシャル),ボースーフェルミ混合系,多成分BECなど多彩な状況の下で,量子渦を中心とした量子流体力学がどのように発現するかを明らかにする.本年度の主な研究実績は以下の通りである. 1.巨視的波動関数が従うグロス・ピタエフスキー方程式と熱的励起を記述するボゴリューボフ・ド・ジェンヌ方程式の連立数値解析を行うことにより,量子乱流における散逸機構を明らかにした。 2.回転する超流動ヘリウム3において,種となる量子渦が系全体に発展する時に示す,「ねじれた渦状態」を,数値解析およびNMR実験により発見した。 3.回転する光周期ポテンシャル上の原子気体ボース凝縮体において,動的渦格子状態を明らかにした。 4.回転する2成分ボース凝縮体において,ブージャムと呼ばれる特異な位相欠陥が境界面に現れることを見いだした。 5.交流超流動流中の量子渦のダイナミクスを数値的に調べ,十分流れ場の振幅が大きいとき,ケルビン波の非線形励起を経て量子乱流へ遷移することを示した。
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