2006 Fiscal Year Annual Research Report
極端な気象現象の発生頻度とその長期変動に関する研究
Project/Area Number |
18340145
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
藤部 文昭 気象庁気象研究所, 予報研究部第三研究室, 室長 (60343886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 清利 気象庁気象研究所, 気候研究部第五研究室, 主任研究官 (70354470)
石原 幸司 気象庁気象研究所, 気候研究部第五研究室, 主任研究官 (40442735)
鬼頭 昭雄 気象庁気象研究所, 気候研究部第一研究室, 室長 (50354452)
松本 淳 首都大学東京, 大学院・都市環境科学研究科, 教授 (80165894)
沖 大幹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50221148)
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Keywords | 極値統計 / 極値分布関数 / 再現期待値 / 降水データ / 降水量 / 気候変動 / 気候モデル / 気象統計 |
Research Abstract |
1.長期間・高密度データセットの作成:区内観測による1926年〜1978年の日降水量データを,東北地方南部〜中国地方西部の25都府県についてディジタル化し,データの品質チェックを行った。 2.極端な事象に対する統計手法の開発と解析:極値分布形に頼らないノンパラメトリックな手法であるブートストラップ法を,1901年〜2005年の国内51地点における年最大日降水量に適用し,その長期変化傾向、月別出現頻度の経年変化を調べるとともに、100年再現期待値を算出した。アメダス日降水量データにstation-year methodを適用して日降水量の長期再現期待値を推定し,適合度を調べて良好な結果を得た。また,アメダス積雪データを用いて地域頻度解析により積雪の再現期待値を推定し,適合度を調べて良好な結果を得た。 日本の冬季の強い降水に見られる長期的な減少傾向(主に日本海側)と,東アジア域の大気場との関連を調べた。強い降水の年々変動は,バイカル湖〜沿海州の500hPa高度場や地上気温と負の相関を持つこと,後者は正の長期トレンドがあり,このことと日本の冬季の強い降水減少とは矛盾しないことが見出された。 1901年〜2005年の国内における強い降水の空間分布特性の長期変化を調べた。強い降水の集中性が増す傾向は認められなかった。 3.数値気候モデルによる極端事象の長期変動の評価:全球20kmモデルAMIPランの降水データを使って、モデルでシミュレートされる年最大日降水量の特性を調べ,観測データと比較した。L-momentの低次係数は中・高緯度ではモデルと観測が比較的良く一致し、モデルの再現性が高いことが示された。一方,低緯度の多雨地域を中心にモデルと観測の極値分布に違いがあった。また,良く使われるガンベル関数は,L-moment法で決定した最適な分布関数形を用いた場合よりも再現期待値を過小評価する可能性が高いことが分かった。年最大日降水量には熱帯低気圧の影響が大きく,日本など台風の影響を強く受ける場所では、再現期待値の正確な推定に長期間のデータを必要とすることが示唆された。
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Research Products
(7 results)