Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松崎 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (60313194)
柴田 康行 (独)国立環境研究所, 化学環境研究領域, 領域長 (80154251)
米田 穣 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (30280712)
箕浦 幸治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10133852)
大山 幹成 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助手 (00361064)
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Research Abstract |
水月湖の年縞堆積物について,退氷期に相当する1万1千年前から1万5千年前を対象に,100年分解能でのベリリウム10分析を行った.その結果を,同堆積物から既に得られている炭素14曲線(Kitagawa et al.,1998)と予察的に比較したところ,双方に大まかな変動の類似性が認められた.このことは,双方の記録間の比較により,その共通項を太陽活動変動曲線として抽出できる可能性を明瞭に示す. 一方で水月湖年縞堆積物のベリリウム10には,分析された期間を通じて,短周期の大きな変動が顕著に認められた.こうした変動が,水月湖での地域的な降水変動に関連するのか,あるいは太陽活動などに由来したベリリウム10本来の生成率の変動に関連するのか,これらの問題が次年度以降の焦点になる.そこで,水月湖から我々が得たベリリウム10記録を補強するために,ドームふじ氷床コアを対象にした退氷期のベリリウム10分析を行うことにした.その手始めとして,様々な記録に基づいて良く知られている過去1000年間の顕著な太陽活動変動を,ドームふじ氷床コアにて確実に検出できるかどうかを検討した.その結果,ドームふじ氷床コアのベリリウム10記録には,降水等の地域的な影響がほとんど現れずに,生成率の情報が確実に残されていることが判明した. 古木年輪の単年輪毎の高精度炭素14分析へ向けて,試料処理法を検討した結果,脱リグニン処理とセルロース処理の組み合わせが最適なことが分かった.十和田八戸テフラから産出した1万5千5百年前の埋没古木を対象に,これを用いた実際の炭素14分析に着手した.またAMS炭素14分析用の期待精製装置を弘前大学に購入・設置し,NISTシュウ酸など標準試料を利用して,立ち上げ実験を行った.その結果,未だ精度にばらつきが認められるものの,確度の高い分析値を得ることができ,装置の立ち上げに無事成功した.
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