2007 Fiscal Year Annual Research Report
星間分子生成機構の解明にむけて:解離性再結合反応の第一原理シミュレーション
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18350001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
武次 徹也 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 教授 (90280932)
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Keywords | 星間分子 / 解離性再結合反応 / 第一原理シミュレーション / 状態平均CASSCF / スピン多重度 / CH3+ / 非断熱領域 / 状態遷移 |
Research Abstract |
星間空間では、陽イオン分子が電子と再結合して中性分子のfragmentへと解離する解離性再結合反応が重要な役割を果たす。今年度はCH_3^++e^-霜を取り上げ、AIMDシミュレーションを行った。まず解離チャンネルであるCH_2+H,CH+H_2,CH+H+H,C+H_2+Hに対して解離経路を設定し、CASPT2レベルで交差点を求めたところ、解離に関与するのは7番目の励起状態であり、交差点のエネルギーはCH3^+の零点振動エネルギーの範囲にあることがわかった。そこでCH3^+の各振動モードに零点振動エネルギーを与えて350通りの初期条件を生成し、AIMD計算を行ってCH_3の7番目の励起状態のエネルギーをモニターしながら交差点を探索した。結果172点の交差点が得られ、各交差点における座標と速度を初期条件としてCH_3の解離過程に対するAIMD計算を行った。最初の2〜3fsで非断熱領域を通り、スムーズに状態遷移を起こして4番目の状態まで降りてくる。最初の非断熱領域をスムーズに降りてくる場合には1つのH原子がCH_2から解離して離れていくので、系全体としてはスピン2重項であるが解離fragmentであるH,CH_2のスピン状態もそれぞれ定まってくるが、CH_2のスピン状態は1重項であった。172本のうち156本でこのようなCH_2+Hへのスムーズな解離が見られた。一方、最初の非断熱領域で遷移が起こらなかった場合には複数のH原子が解離を試みる複雑な動きを示す。特に1本のtrajectoryではC+H_2+Hへと解離し、C原子の縮退を反映して最終的にすべての電子状態が縮退した。その他の15本では最初に遷移は起こらなかったが、その後7本はCH_2+H、8本はCH+H+Hとなった。解離後のfragmentのエネルギー分布について解析を行ったが、解離時間とエネルギー分布に相関がみられた。
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Research Products
(4 results)