2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規精密設計不斉触媒を用いる還元型炭素骨格構築法の総合的展開
Project/Area Number |
18350049
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西山 久雄 名古屋大学, 大学院工学研究科, 教授 (40135421)
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Keywords | ロジウム / 不斉触媒 / 有機金属 / オキサゾリン / 不斉合成 |
Research Abstract |
本研究では、新しい遷移金属還元種を鍵とする、大量合成に耐えうる実践的な力量ある炭素分子骨格構築法ならびに官能基変換法を、オリジナル修飾剤と後周期遷移金属を用いて開発することを目標にしている。そのため、典型元素水素化物の還元剤の併用によって生成する金属還元種を用いてオレフィン骨格をヒドロメタル化してはじまる一連の還元・アルキル化を中心に炭素骨格を合成する高原子効率な方法の創出を総合的に研究してきた。すなわち、不斉金属触媒による「還元的炭素結合形成」の新規な方法論を提供する。例えば、触媒的還元アルドール反応、触媒的還元向山アルドール反応、触媒的還元マニッヒ反応、ならびにそれらの分子内反応などを検討したところジアステレオならびにエナンチオ選択的に触媒的アルドール反応を起こすことに成功し、触媒の合成法の改良ならびに電子効果を期待した置換誘導体の合成を実施し、実際の反応に展開した。 基本原料である、安価なイソフタル酸原料にして天然アミノ酸を原料として得られるアミノアルコール基を導入して、オキサゾリン環を有するN,C,N配位子(BOP)を合成した。また、比較N,N,N型配位子(BOPA)は、市販のビス-2-カルボキシフェニルアミンを原料にしてオキサゾリン基を導入する方法で合成する。また、4,6-ジメチルイソフタル酸からベンゼン環部にメチル基を有する誘導体を合成した。さらに、5-ニトロ、5-メトキシイソフタル酸からパラ置換誘導体を合成できた。さらに、それぞれオキサゾリン部分はイソプロピル、ブチル、フェニル、ベンジル等の官能基を有する誘導体を合成した。この置換基が反応に及ぼす電子的な影響を、理論計算(専用ワークステーションを購入した)行い明らかにした。 合成したN,C,N型多様性修飾剤と種々無機金属塩との反応を検討し、上記金属錯体を得た。例えば塩化ロジウム、塩化ルテニウム、塩化イリジウムである。特に塩化ロジウム、塩化白金酸を用いて,錯体形成能あるいはNMRおよびX線結晶解析を行った。これらの測定により,配位子がどの部位と強く結合あるいは,完全な配位構造をとれるのかを明らかにする。
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