2006 Fiscal Year Annual Research Report
新しいオレフィン系ポリマーの精密合成を可能とする高性能チタン錯体触媒の創製
Project/Area Number |
18350055
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 琴広 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教授 (20304165)
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Keywords | 遷移金属錯体触媒 / 精密重合 / チタン錯体触媒 / 配位子設計 / 新規ポリマー / エチレン系ポリマー / 均一系触媒 / 機構解析 |
Research Abstract |
本課題は、従来の遷移金属触媒による配位重合で達成できない新しいオレフィン系ポリマーの創製・精密合成を達成しようとするもので、高性能分子触媒の設計指針の確立とオレフィンの相対反応性の知見の確立、合成したポリマーの構造・特性解析を主目的としている。具体的には、エチレンと各種置換オレフィンや環状オレフィンとの共重合を検討し、モノマーの反応性への配位子効果の知見を確立しようと考えている。平成18年度の成果は以下の通りである。 アニオン性配位子やCp配位子上の置換基の異なる各種ハーフチタノセン錯体触媒を用いるエチレンと各種環状オレフィンとの共重合を検討し、特にケチミド配位錯体がノルボルネンやシクロペンテンとの効率共重合に有効で、高い触媒活性を示すことを明らかにした。多置換オレフィンとの共重合におけるCp配位子やアリロキソ・ケチミド配位子上の置換基効果に関する知見を得た。 エチレンとスチレンとの共重合における触媒活性やモノマーの相対反応性は、使用するアニオン性支持配位子に大きく依存した。スチレンの立体特異性重合とエチレンとの共重合における触媒活性種は、基本構造は同一であるが価数(3価錯体または4価カチオン錯体)が異なることをはじめて明らかにした(Dalton Trans.誌、Cover Articleに採択)。 高性能触媒候補として、助触媒なしで、エチレン重合に高温で高い触媒活性を示すチタン錯体触媒を設計・創製した。今後は触媒の特徴を生かした高機能材料の創製に取り組むつもりである。
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