Research Abstract |
ネットワークにおける代表的な新サービスの一つとして,IP放送がある.IP放送の視聴料金は,現在無料か定額制が多いが,今後は従量制も普及すると考えられている.IP放送のサーバも一ユーザとしてネットワークにつながっているので,そのアクセス部分でボトルネックが生じる.従量制料金の場合,トラヒックは料金の高低によって変わるが,ボトルネックがあるために,それによって品質が変わることになる.そこで,従量制料金IP放送における料金とトラヒックと品質の関係を明らかにした.具体的には,コンテンツの種類に応じて二つの視聴形態を考え,それぞれに関して料金と品質に対するユーザ行動モデルを構築した.それを用いてボトルネックのトラヒックの計算を行った.また,IP放送事業者収入が最大になる料金を明らかにした. 次に,アドホックネットワークを取り上げた.アドホックネットワークでは,通信者からは料金を徴収し,中継者には謝金を払う方式が提案されている.その料金と謝金の額により,通信者が通信するか,中継者が中継するかという意思が変わる.すなわち,通信者には支払意思額が,中継者には受取意思額がある.この両者の関係により,トラヒックが変化する.通信者は,受取意思額の低い中継者を選んで経路を設定する.すると,その中継者にトラヒックが集中して品質が下がることになる.本年度は第一段階として,中継者の受取意思額をアンケート調査により求めた.アドホックネットワークに参加する意思がある中継者が,実際に中継してくれるかどうかは,主として端末のバッテリ残量に依存する.そこで,端末のバッテリ残量と受取意思額の関係を調べ,その関数形を明らかにした.
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