2006 Fiscal Year Annual Research Report
水文・海洋連結モデルによる洪水が流域物質流出機構と沿岸海域生態系に与える影響評価
Project/Area Number |
18360238
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
端野 道夫 徳島大学, 大学院ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (90029231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 隆雄 徳島大学, 大学院ソシオテクノサイエンス研究部, 助手 (40280466)
末永 慶寛 香川大学, 工学部, 助教授 (00284349)
山中 稔 香川大学, 工学部, 助手 (50264205)
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Keywords | 水工水理学 / 洪水 / 海洋生態 / 物質 / 流域 / 硝酸イオン / 珪酸 |
Research Abstract |
平成18年度は森林域から流出する雨水と物質が沿岸海域生態系に与える影響を水文モデルと海洋モデルを連結させて定量的に評価するために必要な観測資料の蓄積を行った.具体的には香川県東かがわ市に位置する馬宿川と引田湾を対象にした洪水時の雨水.物質流出観測を実施した.平成18年度は渇水年であり,3回の洪水イベントが発生したものの,短期間に引田湾の水質変化をもたらすような洪水イベントは発生しなかったため,海域の水質観測は実施できず,陸域のおける雨水・物質(硝酸イオン,溶存鉄,溶存珪素など)流出観測とモデルを用いた解析のみにとどまった.以下に観測の概要と得られた知見などについて述べる. 1.平成18年の観測洪水イベント (1)イベント16月14日〜6月19日 総降水量72mm最大降雨強度8mm 水質サンプル数37 (2)イベント27月19日〜7月24日 総降水量167mm 最大降雨強度26mm 水質サンプル数102 (3)イベント39月16日〜9月20日 総降水量46mm 最大降雨強度15mm 水質サンプル数72 2.物質流出タンクモデルを用いて得られた森林域からの物質流出機構に関する知見 (1)硝酸イオンは雨水の表面流出成分と早い中間流出成分の発生時に渓流水濃度が上昇していることから,これらの雨水流出成分が発生する土壌A層から多量に流出している. (2)溶存珪素は,流域の土壌がレキ混じりであることから,その渓流水濃度変化は流出成分との明瞭な対応はみられなかった. (4)森林域からの物質流出量は,渓流水濃度よりも雨水流出量変化の影響を強く受ける. 3.平成19年度の予定 平成18年度に引き続き雨水・物質流出観測を行うと共に,海域での物質流動についてモデル計算を行い,陸域からの物質流出が海域生態系に与える影響に関する定量的評価を試みる.
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