Research Abstract |
「現地調査訪問による資料収集と作品の調査研究」として下記の研究を遂行した。フィンランドにてアルヴァ・アアルトの建築作品,草案群のスライド撮影,スケッチを行うことによる,作品の内部構成,外部構成,および周辺環境の調査分析(前田)。建築家の思索の形成過程をたどる目的のもと,ル・コルビュジエの渡航記録に基づく,ドイツ,イタリアでの現地調査(富永)。アルド・ファン・アイクの建築作品の生成過程の研究に関わる,オランダ方面への現地調査(朽木)。フランク・ロイド・ライトの住宅作品の生成過程の研究に関わる,米国での現地及び周辺環境の現地調査(水上)。 「建築作品の生成過程の分析による実証的・存在論的研究」として,アルヴァ・アアルトによる建築作品の図面等の資料を入手し,以下の作業により作品の形成過程を分析した(前田)。(1)ドローイング(図面,草案)の収集とそのデータベース化。(2)生成過程の整理・分類をとおした分析と解読。フォーム変容過程の分析は精密なダイアグラム作成を通して遂行される。(3)平面図,断面図の変容過程の分析は最終案成立のモーメントを列記することをとおしてなされる。ダイアグラムA(平面図に即して),B(Aを抽象化したもの,フォームの概念に対応する)によるフォーム分析の遂行。ダイアグラムC(主室と外部との相関関係を図式化したもの)によるルーム分析の遂行。(4)模型作成によるフォーム検証,ルーム検証,(5)建築家独自のデザインエレメントの分析(デザイン分析)。各作品研究の成果の比較検証と総合的解釈。建築家独自の方法概念の分析。 また,「20世紀の主要建築家の「言葉」の収集とその分析による制作の「方法概念」の研究」として,アルド・ファン・アイクのステイトメントより「言葉」を収集,整理・分析し,とくに建築家の制作の方法概念についての鍵語の分析を行った(朽木)。これらの成果の一部は,日本建築学会学術講演梗概集(平成21年4月投稿,9月掲載,発表予定)への論文掲載等により公表される予定である。
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