2008 Fiscal Year Annual Research Report
宮殿建築の空間と儀礼に関する歴史的研究〜アジアの宮殿建築の比較を中心に〜
Project/Area Number |
18360299
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
川本 重雄 Kyoto Women's University, 家政学部, 教授 (40175295)
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Keywords | 宮殿 / 儀式 / アジア / 中国 / 韓国 / ベトナム / 平安宮 / 建築史 |
Research Abstract |
本研究の最終年度に当たる平成20年度に行った研究内容と成果は以下の通りである。 1)入内と立后に関する儀式の比較研究…日本・中国(唐)・韓国(朝鮮)・ベトナム(阮)各宮殿における立后儀礼の比較研究を実施した。日本の立后において立后の宣命宣制は内裏で行われるものの、立后後の祝宴が当初内裏で開かれていたものが、摂関政治の成立により中宮の生家で行われるようになること、祝宴の出席者が道長時代から変化することなどを報告した。 2)東アジアの宮殿建築と宮殿儀式の比較研究に関するシンポジウムの開催…連携研究者、研究協力者の協力を得て、これまでの比較研究の成果を公表するシンポジウムを開催した。本シンポジウムの成果などは研究成果報告書で公表する。 3)平安時代初期の儀式書の分析…『内裏儀式』『内裏式』『儀式』三書を比較することにより、平安時代初期の宮殿と宮殿儀式がどのような過程を経て体系化されていったかを検討した。豊楽院での儀式を前提としない『内裏儀式』の後、弘仁十二年に豊楽院の使用を大幅に取り入れ、また宮殿儀式の実態に合わせた形で『内裏式』が成立たことし、その後豊楽院がほとんど使用されなくなったにもかかわらず、『(貞観)儀式』では実態とは離れた形で豊楽院での儀式に関する記述がなされていることを明らかにした。また、三つの儀式書の比較からそれぞれが前提とする宮殿儀式空間のあり方についても検討した。 現在、これまでの三年間の研究をまとめた研究成果報告書を作成中であり、六月上旬には完成する予定である。
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Research Products
(4 results)