2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゾル-ゲルセラミック薄膜の応力制御に基づく物性・組織制御に関する基礎的研究
Project/Area Number |
18360320
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
幸塚 広光 関西大学, 工学部, 教授 (80178219)
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Keywords | ゾル-ゲル法 / 応力 / コーティング / 薄膜 / シリカ / チタン酸ジルコン酸鉛 / 昇温速度 / 強誘電体 |
Research Abstract |
酸触媒を含有するSi(OC_2H_5)_4溶液をコーティング液として、スピンコーティングにより単結晶Si(100)ウェハ上にシリカゲル膜を作製した。ゲル膜を種々の速度で昇温し、その過程で応力のその場測定を行った。昇温過程で膜の面内方向に引張応力が発生し、350℃までの温度では、昇温速度が小さいほど応力は大きくなった。昇温過程におけるSi-OH/Si-O-SiおよびO-H/Si-O-Si赤外吸収ピーク面積比の減少、ならびに膜厚の減少の程度が、昇温速度の減少に伴って増大することから、昇温速度を小さくすると、膜の緻密化が促進され、それが、発生する応力をより大きいものにするものと推察した。 一方、モル比Pb(NO_3)_2:Zr(OC_3H_7^n)_4:Ti(OC_3H_7^i)_4:PVP:CH_3COCH_2COCH_3:CH_3OC_2H_4OH:n-C_3H_7OH=1.1:0.53:0.47:0.5:0.5:22:0.98なる溶液をコーティング液として、Pt(111)/TiO_2/SiO_2/Si(100)基板上にスピンコーティングによりゲル膜とした。これを(1)アルミナボート上に置いた後ボートとともに700℃の電気炉中に投入する、(2)700℃の電気炉中で加熱したムライト板上に基板裏面が接するように置く、あるいは、(3)近赤外集光加熱炉中で650℃、5℃/sで昇温するという方法により10min熱処理し、PZT薄膜を作製した。アルミナボート上で加熱した場合、膜は無配向であったが、近赤外集光加熱炉中及び加熱ムライト板上で加熱した場合、膜は(001)/(100)に配向した。Si(100)基板は近赤外光を吸収するが、ゲル膜および熱処理膜は近赤外光を吸収しなかった。したがって、基板側からの加熱が配向を促す重要な因子であり、PVP含有溶液から作製される薄膜の配向制御に有効であるといえる。
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