2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18360366
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
須佐 匡裕 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (90187691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 理恵 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (00372459)
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Keywords | アサーマルガラス / 屈折率 / 線膨張係数 / シリケート |
Research Abstract |
ガラスのアサーマル化のためには,屈折率(n)の温度係数(dn/dT)および屈折率と線膨張係数の積(na)をともに小さくする必要がある。前年度のアルカリ・アルカリ土類酸化物を添加したシリケートガラスの屈折率および線膨張係数の測定結果より,イオン半径が小さく,価数の大きいカチオンを含む酸化物シリケートでは,屈折率の温度依存性を負に,さらに,線膨張係数を小さくできることが示唆された。そこで,本年度は,B_2O_3-SiO_2系に着目し,屈折率を温度の関数として測定した。Bは価数が3であり,イオン半径が0.25Åと小さいことが特徴である。 試料は,B_2O_3-50mo1%SiO_2ガラスとした。厚さ2mm,直径30mmの円盤状に加工し,鏡面研磨して屈折率測定用試料とした。B_2O_3-50mo1%SiO_2ガラスの屈折率測定は,電気炉と組み合わせたエリプソメータにより,空気雰囲気下で行った。 室温におけるB_2O_3-50mo1%SiO_2ガラスの屈折率はSiO_2ガラスの屈折率よりも大きく測定された。また,その屈折率は,時間経過とともに減少した。このため,炉内雰囲気を1atmから0.6atmに変更して,測定を行った。この場合では,屈折率は時間経過とともに減少したものの,減少を抑制することができた。したがって,屈折率の減少は,空気中に含まれる水蒸気等の成分とガラス試料との化学反応により,ガラス表面の平滑性が失われるために起きたと考えられる。このように空気中においてガラスの表面状態が変化することを考慮すると,B_2O_3-50mo1%SiO_2ガラスの波長合分波器への使用は困難であるといえる。目的とするガラスの開発には,屈折率と線膨張係数の物性データに加えて,空気雰囲気に対する安定性についても考慮する必要がある。
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