2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18370011
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
巌佐 庸 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (70176535)
|
Keywords | 生態系 / 社会経済選択 / 結合動態 / 森林伐採 / 湖水の水質浄化 / コンフリクト / 形態形成 / 発ガン |
Research Abstract |
生態系動態と人間の社会経済的動態とをカップリングさせた数理モデルを展開し、研究成果を論文としてとりまとめEcological Economicsに掲載した。湖の水質改善に、住民や農業従事者、事業者などの多数の人々の協力が必要な状況を想定し、それぞれのプレイヤーがリンの流出濃度の高い経済的行動と流出のすくない環境にやさしい行動の間で選択するとした。人々の公共の益に寄与したいとする心理傾向を表すため、効用の項に「社会的圧力」を加えた。そこで、[1]社会の中で湖水の汚染が頻繁に話題に上り、問題の重要性が感じられているほど社会的圧力は強まるとした。[2]他のプレイヤーが協力するほど社会的圧力が強まることで、これは人々の順応傾向を表す。人々の選択は、結果として水質の変化をもたらし、水質悪化は社会の関心を高め、人々の行動選択にフィードバックする。この系では、技術が進歩してリンを効率よく除去することができるようになると、湖水の水質が改善されると思われるかもしれないが、その結果として人々の関心が低下し、逆に水質が低下する場合がある。これは人々の協力への関心に注意を払わないと生態系管理は成功しないことを示している。 (2)泥の巻き上げや植生帯の効果によるレジームシフトが知られているので、この非線形性を取り込んだ解析を行って、第2論文を投稿した。さらに人の集団が環境に関心の高いグループとそうでないグループに分かれる状況をモデル化し、人々の間のコンフリクトの出現と解消を解析した。 (3)このほか、森林の空間動態の研究、森林伐採において所有者の経済的決定と生態系回復を結合したモデルの研究、さらには、発生における形態形成のモデルなども進めた。
|