2006 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤ神経系の細胞型を規定する転写制御ネットワークの解明
Project/Area Number |
18370089
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
日下部 岳広 兵庫県立大学, 大学院生命理学研究科, 助教授 (40280862)
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Keywords | ゲノム / 遺伝子 / 発生・分化 / 発現制御 / 脳・神経 |
Research Abstract |
1.カタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)幼生の神経系で発現する遺伝子を発現パターンで分類し、同じ細胞で発現する遺伝子群について、上流領域に共有されるモチーフを、計算機を用いて検索した。眼点視細胞、平衡器細胞、口陥(入水管原基)のそれぞれで発現する遺伝子群の解析を行った。現在、見いだされた共通モチーフの分布に基づいた全ゲノムからの発現遺伝子予測と、in vivo実験による共通モチーフの機能解析を行っている。 2.神経系で複数のニューロンタイプにまたがって発現する遺伝子Ci-Gαi1遺伝子が発現するニューロンの種類をGFPレポーターと神経サブタイプ特異的抗体を用いた2重染色、またはGFPとWGA(小麦胚芽レクチン)をレポーターとした2重染色法によって決定した。近縁種Ciona savignyiとの比較ゲノム解析によってみいだされたCi-Gαi1遺伝子上流のシス調節モジュールの機能解析により、このシス領域が複数のタイプのニューロンにおける遺伝子発現制御に関わることが示された。この結果から、神経伝達物質作動性が異なるいくつかのニューロン集団間で共通の転写調節機構の存在が示唆された。 3. GABA作動性ニューロン特異的遺伝子Ci-vGATの上流に見いだされた種間で保存された非転写領域の機能を、遺伝子上流域にGFPレポーターをつないだプラスミドをホヤ胚に導入することにより解析した。この保存領域を欠失させた場合にもレポーター遺伝子の発現は大半のGABA作動性ニューロンで発現したが、特定の一部の細胞では発現がみられなかった。また、Ci-vGAT本来発現しない細胞でのレポーターの発現も観察された。現在、これらの観察結果の再現性の確認も含め検証を行っている。
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