2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホヤ神経系の細胞型を規定する転写制御ネットワークの解明
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18370089
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
日下部 岳広 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 准教授 (40280862)
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Keywords | ゲノム / 遺伝子 / 発生・分化 / 発現制御 / 脳・神経 |
Research Abstract |
1.Ci-POU-IVによる神経細胞特異的遺伝子の発現制御:POUファミリー転写因子の一つCi-POU-IVは表皮神経細胞におけるグルタミン酸作動性マーカーCi-VGLUTの発現に必要である(前年度の成果)。平成20年度は、前年度に作製した各神経サブタイプ特異的にKaedeレポーターを発現するトランスジェニック系統を用いて、Ci-POU-IVはGABA/グリシン作動性細胞やコリン作動性細胞の発生には関与しないことを示す結果を得た。汎ニューロンマーカーを用いた解析から、Ci-POU-IVの機能阻害により表皮ニューロンのCi-VGLUT遺伝子の発現は失われるが、ニューロンとしての属性は維持し、神経細胞への分化は生じている可能性が示唆された。 2.GABA/グリシン作動性神経細胞特異的遺伝子Ci-VGATの発現制御機構: Ci-VGAT上流の種間で保存された非コード領域が、神経索前端部の2対の介在ニューロンでの発現に必要十分であることを明らかにし、この領域と相互作用する転写因子の候補として、Engrailedホモログ(Ci-En)、SoxB1ホモログ(Ci-SoxB1)を同定した。 3.実験結果のデータベース化:ホヤ転写制御データベースDBTGR(http://dbtgr.hgc.jp)の機能拡充を行い、これまでの研究で得られた60以上の神経特異的遺伝子の転写制御領域の構造と機能に関する実験結果のデータベース化を行った(東京大学医科研・中井謙太教授、Nicolas Sierro研究員らの協力による)。オリゴキャッピング法と次世代シーケンサを用いて得られた転写産物の5'端情報や転写制御因子の結合予測情報も統合し、ゲノムワイドな転写制御ネットワークの解析のための機能を強化した。
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