2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18380102
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
磯貝 明 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 教授 (40191879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 淳司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40183842)
羽生 直人 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (10292575)
和田 昌久 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (40270897)
北岡 卓也 九州大学, 農学研究院, 助教授 (90304766)
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Keywords | セルロース / TEMPO / 触媒酸化 / 表面改質 / ミクロフィブリル / 水系媒体 / 金属捕捉材 / 機能材料 |
Research Abstract |
2,2,6,6-テトラピペリジニル-1-オキシラジカル(TEMPO)を触媒量用いる水系での天然セルロースの化学改質について詳細に検討した。植物由来の針葉樹および効用樹漂白クラフトパルプ、リンター、ラミー、ホロセルロース、針葉樹サーモメカニカルパルプを出発天然セルロースとして用い、反応時間あるいは共酸化剤である次亜塩素酸ナトリウムの添加量を変化させた場合に導入されたカルボキシル基量およびアルデヒド基量を測定した。その結果、酸化前後で繊維形態はほとんど変化しておらず、ほぼ100%ろ過によって繊維状固形分として回収できた。このTEMPO触媒酸化天然セルロース中のカルボキシル基量は最大で約35倍に増加し、アルデヒド基量は67倍にまで増加した。一方、元の天然セルロースが有するセルロースI型の結晶構造および結晶サイズは変化していなかった。すなわち、天然セルロースの結晶性ミクロフィブリルを維持しながら、その表面に効率的にカルボキシル基等の官能基を導入することができた。このように表面化学改質したセルロースを水中で軽微な条件で解繊したところ、透明ゲルを調製することができた。このゲルをTEMで観察したところ、幅約4ナノメートルで長さが数ミグロンに至る高アスペクト比のセルロースシングルミクロフィブリルからなることが判明した。セルロースミクロフィブリル表面に高密度でアニオン性のカルボキシル基という荷電を導入することにより、電気的反発と浸透圧効果によって分散が可能になったと考えられる。現在、このゲルの基本的特性と応用展開を検討している。
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