2008 Fiscal Year Annual Research Report
寄生虫を生物標識として活用した海産栽培漁業種の生態解明
Project/Area Number |
18380116
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長澤 和也 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (40416029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岡 耕作 高知大学, 教育研究部総合科学系, 教授 (20200587)
大塚 攻 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (00176934)
海野 徹也 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (70232890)
奥田 昇 京都大学, 生態学研究センター, 准教授 (30380281)
山内 健生 富山県衛生研究所, がん研究部, 研究員 (00363036)
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Keywords | 寄生虫 / 生物標識 / 栽培漁業 / 魚類生態 |
Research Abstract |
本研究は,栽培漁業の対象となっている海産魚類の生態を,寄生虫を生物標識として用いることによって解明しようとするものである。本年度はマダイとメバルに加えて,ハタハタも研究対象とした。また,養殖されているヒラメやトラフグ,ブリニ寄生するヒル類に分類類学的位置を検討したほか,ウオビル科に属する魚類寄生虫性ヒル類に関する文献を整理して目録を作成した。以下の新知見を得た。 (1)瀬戸内海産マダイの寄生虫相を調べ,頭部感覚器官にColobomatus属カイアシ類を初めて見出した。本寄生虫は宿主の漁獲後にも脱落しないことから,マダイの糸群識別をする際に生物指標として使える可能性が高い。 (2)従来のメバルから識別・独立種とされたアカメバル,クロメバル,シロメバルに見られる外部寄生虫は,同一場所で漁獲した魚種間でも感染状況が異なっていた。これは,それら魚種の感受性に加えて,生態的な違いが関与していると考えられた。 (3)放流種苗生産に北海道南部海域で漁獲したハタハタ親魚にカイアシ類Acanthochondria priacanthiの前例のない重度寄生を認めた。寄生虫の年変動に関与する要因は不明であるが,ハタハタの分布・回遊域が変化した可能性も示唆された。 (4)養殖ヒラメ,トラフグ,ブリに寄生していたヒル類を同定した結果,ヒダビルLimnotrachelobdella okaeであった。これら魚種はいずれも新宿主として認められる。 (5)これまでにわが国で出版された文献に基づき,魚類寄生性ウオビル科ヒル類に関する情報を整理した結果,14属17種4未同種の記載があることが判明した。
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Research Products
(4 results)