Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 祐一郎 農林水産省農林水産政策研究所, 主任研究官 (10392573)
河野 恵伸 (独)農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農総研センター, 主任研究員 (70355478)
山口 富子 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (80425595)
杉山 滋郎 北海道大学, 理学部, 教授 (30179171)
三上 直之 北海道大学, 理学部, 特任准教授 (00422014)
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Research Abstract |
18年度においては,(1)農業・食品分野へのナノテク応用に関する基本情報・文献収集,(2)海外動向(研究・規制)の把握,(3)研究開発動向把握のためのヒアリング,(4)市民参加手法の動向把握,(5)模擬的な参加型技術評価の設計と準備について,研究を進めた。 ナノテクの研究開発・規制等に関する動向に関しては,次の点が明らかになった。すなわち,日本を含む各国においてナノテク関連製品は広く販売されているものの,農業・食品分野における商業化はまだ限定的である。しかし,研究開発は旺盛になりつつあり,油脂分野など食品加工,センシング(包装資材も含む),動物薬の送達システムをはじめ広い分野で研究開発の取り組みが見られる。海外の食品企業に比べると,日本の取り組みは限定的と見られるが,情報公開が限定されているため全体的な把握は困難である。また規制の国際的動向に関しては,現在までにナノテクに特化した規制は存在しないものの,米国・欧州では規制のあり方に関して公聴会を開催するなどの動きが活発である。 また,ナノテク一般の社会経済的含意に関し,海外諸国において市民的価値を取り入れた検討が開始されつつある。しかし,現段階ではナノテクの適用における一般社会への影響が明確でなく,一般市民を巻き込んだ形での社会的争点も形成されていない。このため,現段階では、社会的争点の解決や合意を目指した従前の市民参加型手法を単純に適用することによって,ナノテクに関する市民的価値を得ることは困難である。そこで18年度は,他領域(遺伝子組換え作物,公共事業等)で実施された市民参加型手法の適用実態や特徴について把握するとともに,これらの企画に携わった専門家への聴き取りを行った。その結果,適切な市民参加型手法を行う上では、技術全般でなく生活に身近な具体的領域を設定すること,研究開発に関わる専門家自身が抱く社会適用に関する懸念を事前に把握しこれを市民に提示すること,議論の軸足を現在ではなく将来に置くことが適切であると判断した。
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