2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンD2を介した新たな自然免疫制御機構と消化管機能障害
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18380173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 正敏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 助教授 (70211547)
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Keywords | マクロファージ / 細胞遊走 / プロスタグランジンD2 / プロスタグランジンE2 / リポポリサッカライド / COX-2 / EP4受容体 / DP2受容体 |
Research Abstract |
本研究は、マクロファージの自然免疫応答として最も重要な、リポポリサッカライド(LPS)をリガンドとする菌体成分認識分子Toll-Like Receptor 4(TLR4)受容体を介した情報伝達系に、脂質メディエーターであるプロスタグランジン(PG)が重要な役割を果たしていることを、細胞レベル、ならびに腸炎を病態モデルとした個体レベルで証明することを目的とする。初年度は、マウス由来RAW264.7マクロファージを用いて、LPS刺激によるTLR4受容体を介したマクロファージの細胞走化性におけるPGD2ならびにPGE2の役割について解明し、以下の通りの成績を得た。 RAW264.7マクロファージにおいて、LPS(1μg/ml)刺激は8時間まで時間依存性に細胞遊走活性を示した。LPS刺激4時間での細胞遊走はCOX-2阻害剤であるCAY10404の処置によってほぼ完全に抑制され、8時間での細胞遊走も約50%抑制された。またELISAによりマクロファージはLPS刺激によりPGE2とPGD2を産生することがわかった。次に、PGD2ならびにPGE2の選択的作動薬を用いて、どのPG種とPG受容体がLPS刺激による細胞遊走に関与するかを検討した。その結果、CRTH2受容体作動薬とEP4受容体作動薬の適用により、マクロファージの細胞遊走が生じることが示唆された。一方、CCR2受容体阻害剤はLPS刺激による4時間の細胞遊走には影響せずに、8時間での細胞遊走を有意に抑制した。以上の成績から、LPSを認識するTLR4受容体を高発現するマクロファージは、LPS刺激によってCOX-2を介してPGD2とPGE2を産生し、パラクライン、オートクライン様に作用して細胞遊走活性を示すことが明らかになった。また、特にLPS刺激初期にPGD2とPGE2がCRTH2らびにEP4受容体を介して細胞遊走活性に寄与し、その後MCP-1/CCR2を介した細胞遊走を生じることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)