2007 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンD2を介した新たな自然免疫制御機構と消化管機能障害
Project/Area Number |
18380173
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 正敏 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (70211547)
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Keywords | マクロファージ / 細胞遊走 / プロスタグランジンD2 / プロスタグランジンE2 / リポポリサッカライド / COX-2 / EP4受容体 / DP2受容体 |
Research Abstract |
本年度は、消化管組織培養法を用いてLPS刺激による消化管運動抑制に関与するPG種とその分子機構の解明と、術後腸麻痺モデルマウスを用いて、消化管病態におけるPGE2とPGD2の病態生理機能について解析した。まず、消化管組織培養を用いた解析では、LPS曝露によって生じる消化管抑制が筋層部常在型マクロファージに由来するか否かをマクロファージの分化誘導に必須なM-CSF欠損マウス(op/opマウス)を用いて解析した。結果、op/opマウス回腸標本ではLPSによる収縮抑制が生じないこと、iNOS mRNA発現が増加しないこと、さらに、F4/80陽性のヤクロファージが筋層部にほとんど認められないことが明らかになり、消化管筋層部の常在型マクロファージがLPSによる消化管運動抑制に重要な役割を担うことが明らかになった。また、消化管平滑筋組織でのLPSによるiNOS誘導能について各種PG作動薬を用いて解析したところ、PGD2にはその作用はなく、PGE2がEP2とEP4受容体を介してiNOSを誘導することが筋組織レベルで証明された。さらに、この結果は、EP2欠損マウスを用いた実験でも確認された。消化管病態モデルでは、術後腸麻痺モデルにおけるプロスタグランジンの役割について解析を開始した。SDラットを麻酔し、開腹した後、回腸部表層を滅菌生食水を含む滅菌綿棒で3-5往復擦ることでモデルを作製した。術後24時間ではNO合成酵素阻害剤感受性の強い消化管収縮抑制が認められ、この反応は術前、術後に選択的COX-2阻害剤を投与することで消失した。すなわち、術後腸麻痺の収縮抑制にはNOが関与するとともに、なんらかのPGが関与すると考えられた。最終年度では、他の消化管病態モデルも含めてPGE2、PGD2の病態生理学的役割について解析する。
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Research Products
(26 results)