2006 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ誘発レトロウイルスの神経病原性発現機構の解明
Project/Area Number |
18380179
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
落合 謙爾 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助教授 (80214162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 悦郎 鳥取大学, 農学部, 教授 (00160903)
大橋 和彦 北海道大学, 大学院獣医学研究科, 助教授 (90250498)
富岡 幸子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (50374674)
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Keywords | トリ / グリオーマ / 中枢神経系腫瘍 / 発癌機構 / レトロウイルス / トリ白血病ウイルス / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
「トリのグリオーマso-called fowl glioma」はその原因と病態が不明であった疾患である。研究代表者らは本疾患がA型トリ白血病ウイルス(ALV-A)感染症であることを明らかにした。本研究課題の目的はトリのグリオーマ原因ウイルス(FGV)の神経病原性発現機構を解明することである。1)申請者らは以前トランスジェニック(Tg)マウスを作製してFGVの神経病原性に関わるlong terminal repeat (LTR)プロモーターの役割を検討したが,導入遺伝子産物の検出は困難であった。そこで,レトロウイルス遺伝子導入法を応用してTgニワトリを作出するため,FGV-LTRとマーカー遺伝子を組み込んだベクターを作製した。2)本疾患の発癌に関与する細胞性癌遺伝子を特定するため免疫組織学的検索を行った。その結果,K-ras遺伝子が星状膠細胞の腫瘍化に関与することが示唆された。また,c-mycへのプロウイルスの挿入が検出されなかったことから,本疾患はほかのALV-Aにより誘発されるリンパ腫とは異なる発癌機序を持つと推察された。3)国内の採卵鶏にはグリオーマと皮下腫瘍が併発するALV感染症が発生している。過去に本疾患が発生した養鶏場で,新たに末梢神経の腫大を特徴とする疾患が多発するようになった。そこで,同居鶏12羽を検索した結果,3例にリンパ球浸潤による坐骨神経の腫大が見られ,5例に非化膿性脳炎が認められた。現在,原因ウイルスについて検索している。4)北海道で野外飼育されている愛玩鶏1羽にFGVとの関連が推察されている神経周膜腫が発生した。研究代表者が知る限り,野外で飼育されている鶏に本疾患が確認されたのは世界で初めてのことである。
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