2007 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ誘発レトロウイルスの神経病原性発現機構の解明
Project/Area Number |
18380179
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
落合 謙爾 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (80214162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 悦郎 九州大学, 医学部, 教授 (00160903)
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (90250498)
富岡 幸子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (50374674)
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Keywords | トリ / グリオーマ / 中枢神経系腫瘍 / 発癌機構 / レトロウイルス / トリ白血病ウイルス / トランスジェニックニワトリ |
Research Abstract |
研究代表者らは「トリのグリオーマso-called fowl glioma」がA型トリ白血病ウイルス(ALV-A)感染症であることを明らかにした。本研究課題の目的はトリのグリオーマ原因ウイルス(FGV)の神経病原性発現機構を解明することである。1.FGV-long terminal repeat(LTR)導入トランスジェニック(Tg)ニワトリを作出してLTRの機能を解析するため,LTRとマーカー遺伝子を組み込んだレトロウイルスベクターを作製しこのシークエンスを確認したところ組込んだLTRに一塩基の置換が認められた。このため,ベクターの調整を検討している。2.FGV感染鶏線維芽細胞を用いてプロウイルスDNAの染色体上の位置をFISH法により検索した。プロウイルスは特定の染色体上に位置しなかったが,2,または5番染色体に挿入される傾向が認められた。3.皮下の間葉系腫瘍とグリオーマ併発例から新たに分離されたALV(TymS_90株)の中枢神経系に対する病原性を明らかにするため,孵卵6日目の鶏胚(SPF,C/O)の卵黄嚢内にTymS_90を接種した。孵化後50日齢では対照の非感染脳には組織学的に異常は認められなかったが,TymS_90感染鶏の脳には4例中すべての例に星状膠細胞の多病巣性の増殖や小脳外顆粒層の遺残と肥厚,血管周囲性リンパ球浸潤が認められた。4.また,上記2株とは異なる神経病原性ALVが発見された。神経線維腫罹患鶏の腫瘍組織からev-1株のenvと98%の相同性を持つ変異ウイルスが分離された。ev-1株は内因性レトロウイルスであり,通常は感染性を持たないことから,神経線維腫から分離されたALVはev-1に由来する変異ウイルスと考えられた。今後はこれら分離株の神経病原性を規定する共通的な因子を探索する予定である。
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Research Products
(5 results)