2008 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ誘発レトロウイルスの神経病原性発現機構の解明
Project/Area Number |
18380179
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
落合 謙爾 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 准教授 (80214162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 和彦 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (90250498)
富岡 幸子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (50374674)
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Keywords | トリ / グリオーマ / 中枢神経系腫瘍 / 発癌機構 / レトロウイルス / トリ白血病ウイルス / トランスジェニックニワトリ |
Research Abstract |
研究代表者らは「トリのグリオーマso-called fowlglioma」がA型トリ白血病ウイルス(ALV-A)感染症であることを明らかにした。本研究課題の目的はトリのグリオーマ原因ウイルス(FGV)の神経病原性発現機構を解明することである。1. FGV-long terminal repeat(LTR)導入トランスジェニック(Tg)ニワトリを作出してLTRの機能を解析するため, LTRとGFP遺伝子を組み込んだレトロウイルスベクターを作製しシークエンス解析の結果, 目的のコンストラクトを得ることができた。現在, 鶏胚に導入できるだけの十分なウイルスタイターが得られるよう検討している。2. 皮下の間葉系腫瘍とグリオーマ併発例から新たに分離されたALV(TymS_90株)の中枢神経系に対する病原性を明らかにするため, 昨年度からの感染実験を継続した。SPF鶏胚(C/O系)の卵黄嚢内にTymS-90を接種したところ, 組織学的に接種鶏8羽全例の脳に囲管性リンパ球浸潤, 小脳外顆粒層の遺残, プルキンエ細胞の配列異常とクモ膜の増殖が認められ, 100日齢の3羽の脳にグリオーマが発生していた。また, 小円形細胞の結節性増殖が50,100日齢でそれぞれ1例ずつ認められた。次に, これら感染実験鶏の脳から抽出したウイルスRNAのenv SU内可変領域のシークエンスを解析し, 接種したTymS_90のそれと比較したところ97〜99%の相同性を示した。以上の成績から, TymS-90はFGV同様, グリオーマおよび小脳低形成を誘発する一方で, 脳室周囲の小円形細胞の結節性増殖とクモ膜の増殖といったFGVとは異なる病原性を持つことが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)