Research Abstract |
本研究は,ベトナム・ハノイにおいて,農耕地土壌・環境水の有害金属および有機塩素系農薬による汚染調査を実施するとともに,植物を用いた浄化・修復技術を確立することを目的とする.平成18年度は,未処理の産業排水と生活排水が河川に流入し,有害金属による汚染が予想される紅河流域で採取した土壌・環境水の,銅,亜鉛,ヒ素,カドミウム,水銀,鉛等による汚染状況を分析した.その結果,工場等を点源とする汚染と地質に由来する広域汚染が存在することが明らかとなった. また,2006年2月17〜24日,11月23日〜12月1日に,ハノイ北部のThai Nguyen県,Thanh Hoa県のタングステン,スズ鉱山およびクロム鉱山で,土壌・水質汚染の調査を実施した.同時に,熱帯・亜熱帯地域でのファイトレメディェーションに適した植物を発見することを目的に,集積植物の探索を行なった.現在,クロム鉱山周辺土壌については分析中であるが,タングステン,スズ鉱山周辺地域では,採掘に伴って流域水田での銅,ヒ素汚染が進行していることが明らかとなった.集積植物の調査では,いくつかのシダ植物(Blechnum orientale L.など)や双子葉植物(Bidens pilosa L.)で高い鉛,ヒ素,銅含有率が観察され,ファイトレメディエーションを想定した場合の候補植物と考えられた. 一方,紅河流域では,農薬の土壌残留と作物への移行も問題となっていることから,Hanam県の農耕地土壌で試料採取を行い,残留農薬分析を開始した.今後,現地土壌で栽培されている作物の採取も実施して安全性の評価を行なうとともに,作物への各種有害物質の移行性を抑制する方法についても検討する.
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