2006 Fiscal Year Annual Research Report
三価の超原子価有機臭素化合物を活用する反応の開発とその化学的特性の解明
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18390005
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
落合 正仁 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50127065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 和範 徳島大学, 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (40403696)
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Keywords | 超原子価 / 臭素3 / アルキン / Michael付加反応 / ジイン / 超脱離能 / プロマン / 加溶媒分解反応 |
Research Abstract |
有機合成化学における新領域、三価の超原子価有機臭素化合物の化学の分野を開拓することが目的である。 I.超原子価アルキニル臭素化合物をMichael受容体とする反応の開発 我々はつい最近、これまでに合成例の全く無い三価の超原子価アルキニル臭素化合物を合成することに初めて成功し、その固体構造をX線結晶解析により明らかにした。アルキニル銅と同じように、アルキニルスズが不飽和カルボニル化合物に対しMichael供与体として直接作用することはない。C-Sn結合の分極が小さいことが原因である。ところが、三価の超原子価アルキニル臭素化合物にアルキニルスズを作用させると、そのMichael付加反応が進行することを見出した。そこでこの反応を詳細に検討し、非対称1,3-ジインの合成反応を開発することに成功した。アルキニルスズの超原子価アルキニル臭素化合物へのMichael付加をアルキニル臭素化合物の合成反応と組み合わせると、一段階でのアルキニルスズの酸化的二量化が進行し、対称1,3-ジインの直接合成へと拡張できた。反応系中で最初に生成するアルキニル臭素化合物が過剰のアルキニルスズと反応している。ジエニルスズを用いた1,3,5,7-テトラインの合成反応も開発した。ビス(トリメチルスタンニル)アセチレンの酸化的二量化を反応系中で連続して行うと、興味ある物性の期待される鎖状ポリアセチレンの合成が可能であるが、その収率は低い。求核性の極めて小さなトリフラートイオンでさえも、超原子価アルキニル臭素化合物に対してMichael供与体となることも見出した。また、このトリフラートのMichael付加を利用して、全く未知の化合物であった1-アルキニルトリフラートの合成反応を開発することにも成功した。 II.三価の臭素置換基の超脱離能の測定 シクロペンテニルボラートにBF_3-Et_2O存在下ジフルオロアリールブロマン(ArBrF_2)を作用させて、臭素(III)-ホウ素交換反応を行い、環状超原子価ビニル臭素化合物を合成することに初めて成功した。シクロヘキセニルボラートとの反応を現在検討中である。今後、超原子価ビニル臭素化合物の加溶媒分解反応を実施して、その反応速度を測定し、三価の超原子価臭素置換基の脱離能を調べる予定である。
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Research Products
(6 results)